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選挙実施=上原氏続投へ=874対70の大差で=谷氏「無効」「勝利」を主張

5月3日(火)

 この二カ月、コロニアの耳目を集めた文協会長選挙に終止符が打たれた。総投票数九百五十九のうち、上原候補が八百七十四票(九二・一%)で圧倒的な勝利を収めた。谷候補が七十票(七・四%)で、無効票が十票あった。今回の決選選挙を棄権すると記者会見で表明した谷氏だが、選挙管理委員会へ書面での通達が遅れたため、予定通りの選挙となった。一方、まだ選管への訴訟を取り下げておらず、意見書も提出した同氏への批判の声も聞こえた。上原候補は当選後のインタビューで、「地方との連携を強化し、チームワークで頑張っていきたい」と長い選挙戦の疲れも見せず、これから二年間の意気込みを語った。
 「決選投票はどうなるの」「えっ、選挙あったの?」。先週末、コロニアのいたるところで疑問や驚きの声が聞こえた。
 というのも、決選投票の前日二十九日、谷候補は文協ビルで記者会見を開き、「決選投票を棄権する」と表明し、新聞紙上などでも大きく取り上げられたからだ。
 選挙管理委員会の原田清委員長は、「口頭ではなく書面で通達がなければ、選挙は通常通り行う」と話し、同日夜七時から、臨時に委員会を召集していた。 しかし、谷氏からの通達はなく、何の変更もなく予定通り選挙が行われることが決められた。選挙当日、午後を回った一時頃、その通達は行われたが、その内容は選管に対しての意見書であり、「谷氏が第一回選挙ですでに勝利しており、決選投票は、無効」とするものであった。
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 四月三十日午前九時。会場となった体育館。前回とは打って変わり、椅子などが整然と並び、アルファベット識別表も掲げられた。
 「二千人までは対応できます。要請があれば、他地方の文協へもノウハウをお教えしますよ」と鼻息の荒い中島剛事務局長だが、前日の谷氏選挙辞退表明もあってか、前回ほどの入場者はなく、上原支持のTシャツを着込んだ支援者が会場で多く見られた。
 一番乗りとなった八十代の女性。夫からの委任状を持ってきたが、投票は午後からと聞き、「何とかなりませんか」と受付で困り顔を見せていた。
 午後からの投票には、委任状も含めた九百五十九人が投票した。そのうち、七十人が谷候補に投票。会場脇には、そのほぼ全てが谷氏ものと思われる委任状の束が見られた。
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 午後六時過ぎ。開票が行われた小講堂壇上に上がった平田光男評議員が開票結果を発表、上原候補の勝利を宣言した。これから二年間、文協の舵取りを担う執行部メンバーの名前を読み上げた。
 握手を求めた下本氏に満面の笑顔を送り、上原氏は肩の荷が下りたとばかりに胸に手を当て、大きく息一つ。
 「この二年間、いいことも間違ったこともやってきた。経済状況も良くなってきたし、文協ネットなどを通じて地方と連携を深めたい。これからまた二年間チームワークで頑張りたい」と話し、「当選記念パーティの予定は?」という記者の問いかけに、大きくかぶりを振り、「仕事だけです」と両こぶしを握って見せた。

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