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日本の日本語照らす存在=「コロニア語」を調査に=大阪大の研究者ら教科書の研究も

2005年7月29日(金)

 日本の研究者によるコロニア語調査団が来伯している。ブラジル日系社会の日本語、いわゆる「コロニア語」が、ポルトガル語の影響を受けてどのように変化してきたかを調べるもので、二〇〇三年に続き二回目の調査となる。前回はスザノ市福博村、ミランドーポリス市のアリアンサ移住地で聞き取り調査を実施。今回の調査では、聖市ビラ・カロン区で沖縄系移民への聞き取り調査を実施するほか、文献資料の調査を行う。調査団の一員で文献調査を担当する、大阪府立大学専任講師の山東功さんに話を聞いた。
 今回来伯したのは、調査団代表の工藤真由美・大阪大学大学院教授をはじめ、岡山大学の中東靖恵助教授、大阪大学COE研究員の李吉鎔さん、山東さんの四人。滞在中、聖市ビラ・カロン区で、沖縄県小禄(おろく)村出身の移住者とその子弟への聞き取り調査を実施するほか、来月にかけてアリアンサ移住地などを訪れる予定だ。
 山東さんは前回の調査に続き二度目の来伯。約十日間の滞在中、文献資料の調査にあたる。今回はブラジルにおける短歌や俳句などの短詩型文学と日本語教科書を中心に調査を進める。
 「これまでにもコロニアの文学についての研究はありますが、高浜虚子門下の佐藤念腹などがいた時代とは違って、今は日本で知られている人は少ない」と山東さんは現状を説明する。「(皇居の)歌会始でも、なぜブラジルからの作品があるのか、その意味を分からない人が多くなっています」。
 これらの調査とならんで、六〇年代の教科書編纂事業における日語教科書の特質などを調べていく。「ブラジルで日本語を教える上で、教育者は日本以上の日語教育を行ってきました。そうした歴史が日本では知られていません」と山東さん。「今回の調査が新たな研究につながれば」と期待を寄せる。
 日本語を母語とする一世からポルトガル語を母語とする二世、三世に世代が移るにつれて、移民社会で使われる日本語の形も変わっていく。ポルトガル語で日本語の文法書を作ったアンドウ・ゼンパチや半田知雄、佐藤常蔵など、五〇年代から六〇年代にかけて、多くの知識人がコロニアにおける日本語の問題を取り上げてきた。こうした歴史を日本に知らせることも、今回の調査のねらいだ。
 これに加え、山東さんはこの研究が現在の在日ブラジル人への日本語教育問題にもつながると考えている。「コロニア語は地球の反対側から日本の日本語を照らす存在。ブラジルにおける日本語のあり方を見ることは、日本の日本語を考える上でも大きな意味があると思います」と研究に向けた抱負を語った。

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