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静岡県弁護士会から視察団=ブラジルの=法システムを見に=日常の業務のなかで=デカセギ関連訴訟=活動に役立てる

2005年9月21日(水)

 静岡県弁護士会(三井義廣会長)の視察団がさきに、去る十九日までの日程で、ブラジルを訪れた。伯日比較法学会(渡部和夫会長)が昨年十二月に浜松市で国際法シンポジウムを開催したことへの答礼訪問で、滞在中、サンパウロ州内の裁判所や刑務所などの法関係施設を訪問した。ブラジルの法システムの実際を知ることで、デカセギ関連の訴訟に役立てば、のねらいがあった。
 訪問団の一行は、同弁護士会浜松支部の熊田俊博幹事長をはじめ、縣郁太郎、高貝亮、片桐一成など四人の弁護士。浜松ブラジル協会の会長で、同市で外国法事務弁護士をつとめる石川エツオさんが同行した。一行は十二日に着聖。同日夜には伯日比較法学会による歓迎レセプションがサンパウロ市内のホテルで開かれた。
 同支部のある浜松市は、現在約二万三千人の外国人登録者のうち、約一万三千人をブラジル人が占める(二〇〇四年三月末の統計)。日常の業務の中でブラジル人が関わる事件を扱うケースも出てくる。今回の訪問には、ブラジルの法システムを実際に見ることで、日本での活動に役立てるねらいもあるという。
 訪問団の説明によれば、浜松地裁で年間に起訴される刑事事件は約千二、三百件。そのうちブラジル人が関わる事件は月に五件、年間でも百件程度が起訴までもちこまれるという。その内容は窃盗や傷害、強盗、覚せい剤など多様だ。このほかにも保険金や労災の請求、離婚調停、多重債務の整理なども扱っている。
 訴訟に関しては日本人とブラジル人の間に「違いは感じない」と熊田幹事長は説明する。「かえって日本人より丁寧な印象」とも。ただし、労災などの民事訴訟に関しては、将来の収入予測が難しいことなどもあり、話し合いがつかないケースもあるという。通訳の必要性を強調する声もあった。
 このほか、子弟の問題についてもいくつかのケースが説明された。
 日本の学校の場合は地区の「学校安全会」が子供のケガや事故を補償するシステムがある。未認可のブラジル学校の場合はそれがないため、親が自分で保険をかけなければいけないが、払いきれないケースも出ている。
 また、高貝弁護士は、ブラジル人少年グループが検挙された事例を挙げ、両親が帰国しているため、指導や監察など対応が難しくなる場合があると語った。

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