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コラム 樹海

 ブラジルに長く住んでいると、疑心暗鬼になるという話である。衆議院議員選挙の在外投票で、政党名記入は鉛筆使用を義務づけられた。これに関して、もし、日本の選挙管理委員会で開票の際、記入事項を改ざんされたら、どうするのか、ありうることではないか、と疑うのである。改ざんとは、選管の係員によって書かれた政党名が消しゴムで消され、ほかの名が書かれるという意味だ▼実は、この疑心暗鬼は、一人でなく、何人かから聞いた。既報のように、公館側の説明は「書き入れた人が間違えたとき、容易に消して書き直せるように」だ。選管で改ざんされるなど、考えてもみないだろう。「あり得ない」が常識である▼疑心暗鬼をまわりで聞いていた人たちは嗤った。「ブラジルに長い間暮らしているとそうなるよナ」▼パソコンで「どうして鉛筆なの?」を検索してみた。日本のある市町村当局の回答があった。ボールペンやマジックを使用してもよい。ただ、インクで投票用紙どうしがくっついたり、インクが出なくなる可能性もある。その点、鉛筆は簡単に使えるし、芯の削り直しもきき、安価――とあった。そして最後に「投票用紙を、その後に書き換えることは絶対にあり得ません」▼ここで、日本の日本人や選管のモラル?が信じられない、というブラジルに長い人が、オレは絶対ボールペンで記入するぞ、といくら頑張っても、在外公館はたぶん「鉛筆使用」を貫くだろう。役所というのはそういう所である。(神)

 05/09/28

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