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2つの文化生きる日系人=非日系の=映画監督=文化適応の過程描く=リオ、サンパウロ市で上映へ

2005年10月5日(水)

 ドイツ在住の非日系ブラジル人監督による、日系家族の歴史証言を通して日伯文化適応の様子を描いたドキュメンタリー映画「NIPO BRASIL- ojeito japones de ser brasileiro」(ブラジル人としての日本的やり方)が、現在開催中のリオ映画祭で上演される。八日にはサンパウロ市で、監督を招いて上映会および講演会も予定されている。
 監督・脚本はベルリン在住の非日系ブラジル人ロベルト・マニャンエス・レイス氏とスイス人のヴィオラ・シェウエレ氏。九十四分。今年完成し、すでにドイツの映画祭で公開されたが、ブラジルでは今回初めて。
 十七歳で沖縄をあとにし、今はマリリア市に住む名嘉センゾ・ルイス氏の家族の証言を中心に、その子、孫がブラジル文化とどのように混交してきたかを描く。
 ブラジル人として育てられた長男のジョアキンがアフリカ系ブラジル人と結婚し、妻のほうがむしろ日本文化に強い関心を持った。「かつて一攫千金を夢見てブラジルへ渡った移民の子孫は、肉体労働者として祖先の地に戻っている」と、報道資料に解説されている。
 レイス監督の親せきが名嘉家に嫁いでいる縁から日系コロニアへのつながりが生まれ、長編作品へと昇華した。サンパウロ州バレットス市に生まれ、十八歳でスイス、ドイツへと移り住み、以来十二年間を国外で過ごしている。
 資料の中で同監督は、「子供時代に日系の叔父から日本文化のことを聞き影響を受けた。彼のようにブラジル人として二つの文化の中で生きる経験は、複雑だがとても豊かなものだと思う。だからブラジル社会に適応する過程を描こうと思った」と説明する。
 すでに作品を鑑賞した移民史料館の大井セリア館長は「監督自身が外国生活をしており、独特の視点でコロニアを外から描いている。たいへん興味深い映画です」と紹介。非日系監督による、日系家族を中心とした長編ドキュメンタリー映画はまだ少ないという。
 リオでの上映は十月六日にエスパッソ・ウニバンコ3。
 サンパウロ市では八日午後二時からに文協十四会議室で、レイス監督を招いて上映と講演がある。当日の鑑賞券は五レアル。すべてポ語。

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