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百周年記念事業着々とパラナ州の動き、上野アントニオ元下議が語る=目玉は連邦技術大建設「全身全霊で二年前から」

2005年10月12日(水)

 パラナ州では百周年記念事業の目玉として、連邦技術大学をロンドリーナ市に誘致し、日系色の強い教育機関にすべく、ちゃくちゃくと準備を進めている。上野アントニオ義雄元連邦下議(83、二世)は、「日本の先端技術や文化を学べる学校を作り、ブラジルの発展に寄与できる若い人を育てたい」と抱負を語った。すでに教育省(MEC)や連邦議会で承認されており、土地も手配済みだ。日本側関係者にも祭典当日の招待状もわたした。七日来社した上野元下議に現在までの動きをきいてみた。
 九月八日から一カ月間、上野元下議は第三十三回パラナ友好経済使節団(二十四人)の団長として訪日した。クリチーバ市のカルロス・アルベルト・リッシャ市長、パラナグア市のルドルフ・アマルージィ・フランコ市議会議長ら政治家や地元経済人など、八割が非日系人だ。
 経済交流と同時に、百周年の式典の招待状を関係要人に渡すことと、記念事業の目玉である連邦技術大学への資金と技術の協力要請を目的にしていた。
 〇八年六月二十二日に北パラナのローランジャ市で予定されている式典の招待状を、皇室はじめ日本の外務省中南米局長ら政府関係者、橋本龍太郎元首相(日伯議員連盟会長)、河村建夫衆議(同事務局長)、経団連の日伯経済委員会にも手渡してきた。
 「河村議員は今年中に訪伯すると約束してくれた」と喜ぶ。小泉首相には会えなかったが置いてきたという。「五万人を集めて盛大に式典やるつもりです」との抱負を語った。
 連邦技術大学をロンドリーナに誘致することは、すでに教育省(MEC)で承認され、この九月には連邦議会(上院下院とも)でも認可されたという。昨年九月の小泉首相来伯時にも直接、説明済みだそう。
 土地は同市が五十ヘクタールを無償提供することを約束しており、「日本側には二千万ドルの資金協力をお願いしている」という。日本側からは伯外務省の正式な要請状が必要だと言われており、これから同省ABC(Agiencia brasileira de cooperacao)との交渉に入り、手続きをすすめる。
 この技術大学は連邦政府の予算で運営され、すでに全伯にある。現企画大臣のパウロ・ベルナルド氏が同市出身であることから協力を依頼している。
 この計画の特徴は連邦予算で建設、維持するためにコロニアの負担が少ないことだ。「もちろんコロニアの協力は必要だが、大まかな金は政府に協力をもとめます」。
 同大学はすでに、日本の神戸大学と姫路工業大学と提携している。新しい連邦大学では、お互いの卒業資格が本格的に通用できるように、カリキュラムから考え直すプランもある。「日本の先端技術や日本文化を勉強できるようにするのです。もちろん日本語も」と意気込む。
 日伯両国への根回しを着々と進める上野元下議は、「全身全霊を投入しています。私たちは二年前にプロジェクトをはじめた時から一筋です」と語気をつよめた。

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