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被爆者たちと懇談=放射線=影響研から児玉氏ら

2005年12月01日(木)

 放射線影響研究所(広島市)の児玉和紀疫学部長、片山博昭情報技術部長が先ごろ来伯し、去る十一月十八日午後、在ブラジル原爆被爆者協会(森田隆会長)と懇親した。二人は、リオデジャネイロで開かれた緊急放射線被爆医療に関する学会に参加するためにブラジルを訪問。合わせて、在外被爆者の生活環境なども調査した。
 同研究所は、広島・長崎の原子爆弾の被爆者における放射線の健康影響を調査する科学研究機関。両市に研究所があり、がんの罹患率や死亡率といったリスク情報を提供するなどしている。懇親会では出席した被爆者一人一人から、生活・健康状況や要望などを聞いた。
 (1)健康保険に加入できない人がいる(2)介護保険のような制度がなく、個人の負担が大きい(3)人工透析など、治療に地域差がある(4)健康管理手当の送金に当てって、手数料がまちまちである──ことが確認できたという。
 日伯友好病院とサンタクルース病院も視察。医療の現場も見て回った。同研究所はこれまで両病院を含めて、ブラジルから計二十四人の研修員を受け入れている。外国から研修員を受け入れ始めて来年が十五周年になり、送り先との関係強化を図る狙いもあった。
 二人は「放射能を浴びた量に比例して、がんがでる割合が高くなる。健康に及ぼす影響はまだ分かっていない部分もあり、これから解明していかなければならない。被爆者の生活状況は、何らかの形で厚生労働省に伝えたい」と話した。

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