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コラム 樹海

 パレスチナの評議会(国会)選挙でハマスが単独過半数を獲得した。圧勝である。自爆テロやカミカゼと呼ばれる武力闘争で知られるハマスは、アラビア語で「イスラム抵抗運動」の頭文字を取ったもので「熱狂」の意味もある。イスラエルやガザ地区での武装闘争による犠牲者は多い。今は停戦を宣言しているけれども、闘争方針を変更したわけではなく、不安は続く▼アラファト氏が死亡した後を受けたアッバス議長は、ファタハであり穏健派で武装闘争には批判的な人。イスラエルのシャロン首相(病気中で意識不明)と中東和平について話し合いをしているのは周知の通りである。そこへ―敵対するハマスが国会の過半数を占める大勝をしたのだから、イスラエルは当然ながら「ハマスとは交渉しない」と宣言するし、ブッシュ大統領も「武力放棄」をと訴える▼ハマスは憲章に「イスラエル殲滅」を掲げ武力主義を第一とする。しかし―である。パレスチナ住民の多数は「イスラエルとの和平進展」を希望しているの世論調査もあり、いかなハマスでも―これを無視するわけにはいくまい。少なくとも、武力闘争と和平交渉の両立は不可能と云っていい。ここを―どう考えるかが焦点と見たい▼ガザの近郊では両派の武力衝突も起こっている。アッバス議長は、ハマスに組閣を要請しているが、ファタハとの連立になるのか、ハマス単独政権になるのかもまだ決まっていない。イスラエルはアッバス議長を通じ「和平達成」を祈っているのだが、これもハマスが武力主義を放棄するかどうかどうかに掛かっている。  (遯)

06/01/31

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