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一千人以上詰めかけ=「さんしんの日」楽しむ

2006年3月10日(金)

 琉球芸能祭「ゆかる日 まさる日 第一回さんしんの日」(知念直義実行委員長)が五日、サンパウロ市の沖縄県人会館で開かれた。琉球芸能九団体が共催した一大イベント。沖縄の伝統楽器「三線(さんしん)」の演奏を中心に、古典音楽、舞踊、民謡など、八時間にわたって様々な演目が披露された。当日は千人以上が会場を訪れ、立ち見も出るほどの盛況ぶり。三線の音が響く会場で、老いも若きも椅子を並べて、沖縄文化の一日を楽しんでいた。
 このほど開催された「さんしんの日」。母県沖縄では毎年三(さん)月四(しん)日に開催され、県内外から愛好家が集う。沖縄ではすでに十四回を数えるほか、ハワイでも開催されるなど、世界にも広がりつつある音楽イベントだ。
 ブラジルでの開催にあたり、母県からは沖縄ブラジル協会の西原篤一会長、重要文化財琉球古典音楽保持者で人間国宝の島袋正雄さんから祝賀メッセージが寄せられた。
 イベントは午後一時に、祝いの曲「かぎやで風節」の演奏で幕を開け、ごえん節、揚作田節、東里節、赤田花風節の「御前風」と呼ばれる五曲を斉唱。かぎやで風節の舞踊に続いて、琉球民謡団体が合同で、祝い節、めでたい節、安里屋(あさどや)ユンタ、安波節を合唱した。中でも人気の高い安里屋ユンタが流れると、観客は手拍子を打って一緒に歌っていた。
 留学研修生OB会「うりずん」(座嘉比シモーネ会長)の若者による三線の演奏では、演奏前に会場の若い世代に向け、三線の歴史をポルトガル語で説明する場面も見られた。
 「うりずん」のメンバーは開催にあたり、三線の歴史をポルトガル語に翻訳した冊子を作成し、会場内のブースで紹介した。ブースには三線の実物も飾られ、その前に記念撮影する来場者もあった。
 この日は、古典音楽が中心にもかかわらず、若者の姿が多いのが印象的だった。県人会の与儀昭雄会長も「一番良かったのは、若い人がたくさん参加したこと」と満足そうな様子を見せていた。
 会場は訪れた人で埋まり、立ち見も出るほどの盛況ぶり。「千五百人くらいは来るのでは」と与儀会長。常に七百人前後が会場を埋める予想外のにぎわいに、後ろの席では演奏を聞き取りにくい人もいたようだ。
 舞台では琉球民謡協会の民謡、野村流音楽協会、琉球筝曲興陽会による斉唱とプログラムが進み、前半最後はレキオス芸能同好会エイサー太鼓の威勢のよいかけ声が会場を一層盛り上げた。
 後半は、古典、民謡のほか、ホッキサミオ(Rocksamio)やトントンミーといった若者による音楽グループの演奏や琉球国祭り太鼓などが披露された。特にトントンミーが舞台に上がると、会場の盛り上がりは最高潮に。最後は恒例のカチャーシで締めくくり、午後九時ごろに終了した。
 流派を超え、ブラジルの沖縄文化が一堂に会した「さんしんの日」。実行委員長の知念直義さん(野村流音楽協会ブラジル支部長)は「今回の共催でこれだけの人数が集まり、嬉しく思います」と喜びを表わす。また「近々反省会を開いて、来年のことを話し合いたい」と語り、第二回目の開催にも前向きな姿勢を見せた。

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