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デカセギ紹介手数料上がる=「新規」が減って=最近は1人1200ドルにも=経験者は自分で就職活動

2006年5月13日(土)

 デカセギ一人を斡旋業者に紹介すると、手数料の相場はいくら? 新規の希望者が右肩下がりの傾向をみせている上、経験者によって直接、雇用主と交渉するため、斡旋業者の競争が激しいと言われる。プロモトールと呼ばれる、紹介者がたくさん人材を連れてくれば、収入が上がるわけだ。ある意味で貴重な存在になる。斡旋業者が支払う紹介料は、就職するための費用に転嫁されるため、プロモトール選びに注意が必要なのかもしれない。
 「千ドル~千二百ドルに相場が最近、上がってしまって」。
 斡旋業を営む男性は浮かない表情を浮かべ、「デカセギにいきたい人が、あまりいないんだ」と言葉をはき捨てた。つい最近まで、相場は八百ドルだったという。
 「支払わなかったから、ほかの業者に売り込むというし……。日本にいったことがある人なら、向こうの事情にも明るいし、直接、交渉するから。こんところ、ずっと景気が悪いよ」。
 求職者数が減少する一方で、プロモトールに払う手数料が上がったのだ、とこぼしている。
 連邦政府と州政府レベルでの無犯罪証明書が必要とされ、連邦警察と軍警に足を運ばなければならなくなった。旅行社の職員は「日本で働こうという人が減った。ビザもなかなか出ないんだ」と、ビザ取得が困難であると訴えた。
 ほかの業者らに聞いてみたところ、業界内で紹介料についての取り決めは特にないようだ。「人それぞれ」という。
 十三年間、デカセギを斡旋している男性(64)は「私は開業以来、五百ドルで通しています。日本にいく人のことをまず考えてあげなくては」と語る。
 訪日に当たって、デカセギが支出するのは大きく分けて、航空券と斡旋業者の業務費。紹介料は一般に、業務費に含まれる。
 これらの出費は毎月の給与から、差し引かれていくわけだ。「借用書の負担が増えるわけですから。多くの業者は、業務費の内訳を説明しないんです」。
 デカセギ経験者が直接、就職活動をするようになった結果、斡旋業者は主に、新規希望者を探す。業者を頼るのは「日本につてもなく、航空運賃も支払えない人たちだ」。
 デカセギが訪日後に、きちんと就職せず、逃げてしまったら、そのリスクは業者が背負う。デカセギの人選に気を使わなければならない。
 「プロモトールといっても、応対するのは本当に信用する人だけ。デカセギとどういう話をしているか分かりませんから。プロモトールを食わせるために、仕事をしているわけではありません」。
 悪質業者に搾取されないためには? 「プロモト―ルと斡旋業者を、きちんと選ぶことですよ」。

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