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大展開しそうな雰囲気…=日本でのブラジル商品人気=――西川りゅうじんさん、商工会議所で講演――=売られる〃オシャレ〃のイメージ=戦略、ブランド化の必要

2006年8月24日付け

 ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)は、十八日、定例昼食会を開催し、日本で活躍中のマーケティングコンサルタント西川りゅうじんさんをゲストに招いた。西川さんは「日本でブラジルをブレイク(爆発的に人気が出る)させる」と題して講演を行った。
 西川さんは、九年前より鹿児島県本格焼酎のマーケティングに携わり、焼酎ブームの火付け役となったほか、大学の講師を務め、ビジネスや社会現象についての解説者としてテレビでも活躍している。
 「今、日本でブラジル商品がブレイクしそうな雰囲気がある」と西川さん。その理由に、両国首脳の相互訪問、両国経済の回復、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の台頭と世界経済の面からの注目――の三点をあげた。
 日本でのブラジル人気の例として、雑誌の見出しを紹介。「サッカーだけじゃない・クール大国ブラジル」「カナリア色のブランド」「ブラジリアン美人になりたい」「美の源はアマゾンにある」。
 また、ロザ・チャ(水着)、カンパーナ兄弟(家具)、フランチェスカジョビ(靴)などブラジルのブランドをあげ、「ブラジルの最先端は確実に『オシャレ』というイメージを売っている」と話した。
 そのうえで、ブラジルがとる戦略は「ブラジルをブランド化をすること」。現在の日本の輸入総額は約五千百六十億ドル。そのうち、ブラジルの占める割合は〇・八六%と一パーセントにも満たない。さらなる展開には、「高付加価値なものを提供していくことが要点だ」という。
 そして、日本市場でのビジネス展開を「あいうえお」でまとめる。「あ=安全・安心」。企業は信用を得ることで成り立っている。買い手、売り手の関係に加え、世間からの反応を軽視してはならないということ。また、「あ=あそび」でもある。物理的感動が飽和状態にある日本では、「必要なもの」ではなく「ほしいもの」がよく売れる。韓国ドラマのヨン様現象、メイド喫茶(西洋風の女中などの衣装をつけた人が客の接待にあたる喫茶店)や証券取引所の「萌え銘柄」を例に、遊び心を指摘した。
 「い=癒し」。団塊の世代の退職により、お金と時間を持つ「金時族」が出現する。スローライフ(ゆったりとした暮らし)やアンチエイジング(若返り)など健康、美容関係分野に関心が集まる。
 「う=うまい」。他と差別化できるセンスと質が求められる。価値を高め続ける努力を常に怠ってはならず、また、口コミやメルコミ(メールでの情報交換)で市場が広がる現在では、「一言で言い表せる広告文や一瞬でわかる視覚的表現」が必要となる。
 「え=えらばれる」。ブランドをつくること。安売りではなく、ものづくりの哲学で自信を持つこと。
 「お=おもてなし」。「人が最大の情報伝達手段」であることを認識し、ホスピタリティー(もてなす心)を持つべき。「集客をしつつも、失客を避けたい。留客力を高めるには知客が必要」と、西川流の造語を交え、話した。

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