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会議所説明会=デジタルテレビとは何か?=日本方式、利点は?

2006年8月31日付け

 ブラジル日本商工会議所電子電気部会(松田雅信部会長)は、ルーラ大統領が去る六月、デジタルテレビに日本方式を採用すると発表したことを受け、デジタルテレビ動向セミナーを開催した。講師に「プリモテック21」社長の三好康敦さんを迎え、デジタルテレビとは何か、日伯合意の要点や今後の見通しについて、説明が行われた。
 米国方式(ATSC)、ヨーロッパ方式(DVB―T)、日本方式(ISDB―T)の三つの方式をめぐって行われた熾烈な競争。「デジタルテレビに関することも含め、日本式の技術が海外で採用されるのは初めてのこと」だ。
 日本方式のデジタルテレビは、(1)高精細な映像と音声を提供し、「幅広い画面と高画質、高音質でその場にいるような臨場感と迫力を楽しめる」。(2)一つのチャンネルで複数の番組を見ることができる。(3)番組に参加、投票するなどインターネットをつないでの双方向のサービスが可能。(4)視聴中の番組の関連情報や、天気予報、ニュースなど補足データを受信できる。(5)車内の小型テレビ、ノートパソコン、携帯電話での視聴もきれいに行える、といったもの。
 既存のテレビに地上デジタルテレビ用のチューナー(同調部分)を接続することで利用でき、高解像画面であれば画像や音声もよくなる。また、チューナーが内臓されているテレビであれば、アンテナを接続するだけでよい。
 三好さんは日本方式が採用された理由に、「半数以上が室内アンテナを使用しているブラジルにおいて、高い建築物で電波が反射しても確実に映像、音声を届けることができる点、車内テレビや携帯電話など移動するものにも対応できる点が評価された」という。
 これからの十年間、二〇一六年までにデジタルテレビに完全に移行する計画。今後、受信機や送信機、リモコンなどの技術規格の策定、法規制の調整や、送信のためのインフラ整備などを進めていくために、今月末には、通信大臣により全体の予定が発表される。
 三好さんは「一般市民に対しての説明、宣伝がまだ不十分。需要を膨らませるには低所得層にも手が届くようにしなければいけない。数にもよるが、単機能のチューナーが二百~三百レアルで購入できるようになるのでは」と、見通しを語った。
 さらに、「通信や放送、製造業社などが協力し合う必要がある。政府が積極的に方向付けをして、各業界の意見を集めていくことを期待したい」。
 メルコスル諸国への波及について、ブラジル政府は「南米はブラジルと同じようにする」と話しているそうだが、日本との間で具体的な話は出ていない。

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