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剣道高段者と交流=ピ文体協体育館で感激「やっぱり違う」

2006年9月1日付け

 滋賀県のブラジル友好交流使節団(赤堀義次団長)が八月十七日来伯。赤堀県議会議員や山田光二・県商工環境労働部次長ら行政関係者らと、矢島正男・県剣道連盟理事長はじめ、五段以上の有段者八人の一行は、二十四日、ピラチニンガ文化体育協会体育館を訪れ、地元の選手と合同稽古を行った。
 毎年、日本の全国剣道連盟からは二、三人の有段者がブラジルに派遣されてくるが、剣道の最高段位である八段の保持者二人を含め、有段者が九人も来伯するのは今回が初めて。滋賀県と姉妹州県提携を結んでいるリオ・グランデ・ド・スル州で行われた南伯日本人入植五十周年式典に出席した後、ブラジル剣道連盟(児島修徳会長)や県人会の希望により、急遽、合同稽古を行うことになった。
 ブラジル側から剣道関係者ら約三十人が参加して、冒頭、矢島正男・県剣道連盟理事長(七段)があいさつ。続いて、田島誠八段と仮屋達彦八段により、真剣を用いた「剣道型」が、河村嘉彦七段により「居合」が披露された。
 「型」の段位と「剣道」の段位は異なる。ブラジル剣道連盟副会長で、リオから稽古に駆けつけた遠藤敏信さんは「竹刀と刀の使い方は違うけど、刀法は剣道の基本となるもの。いかに攻める機会を捉えるかは、戦い方に応用できる」とその意義を説明する。
 稽古に入り、防具をつける前に基本の練習、防具をつけての組み合いが行われた。矢島団長は「剣道は手足のバランスが大事。そして、『気・剣・体』三つがそろって一つになる」という。
 デカゼギで日系人が減った半面、ブラジル人選手が増加し、実力をつけてきている。遠藤さんは「ブラジルにはない、より精神的なものを求めて剣道をやりに来ている」という。
 ブラジル全国での七段保持者は八人、八段は一人であることから、八段が二人、七段が二人という今回の交流団は願ってもないこと。「ぜひ八段の腕前を拝見したくて」と仕事や学校を休んで選手が集まった。三重県人会で練習を積んでいるタチバナ・ゼンさん(23)は「やっぱり違うよ。一本、打たれるだけでもうれしい」と興奮気味だった。
 四年後の剣道世界選手権はブラジルで開催される。田島八段が「ますますの発展を」とエールを贈って稽古を終えた一行は、親善昼食会の後、エンブー市長を表敬訪問し、その日のうちにブラジルを後にした。

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