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遅まきながら日本人会を=A・サンタバルバラ設立話具体化へ=非日系も取り込めるように=町の活性化をめざす

2006年12月28日付け

 日系人同士の、横のつながりが生まれた――温泉で有名なサンパウロ州アグアス・デ・サンタバルバラに、新たな日本人会が設立されようとしている。同じ地区内に住んでいながらこれまで集まることのなかった同地の人らが、ともに集まりお茶を飲むようになったことが発端。講演会やコーラス発表会などを催して、自然と日系人が集まるようになった。一月二十七日には有志らが集い、日本人会設立の具体的な内容について話しあう。お茶の場を用意した小笠原勇二さんは「自分たちが楽しむだけでなく、地域社会のためになることをしていきたい」と、非日系をも含めた活動の方向性を話した。
 アグアス・デ・サンタバルバラには日本人会がない。定住している日系家族は十数家族、同地に別荘を持つ日系人は多くいるが、「互いのつながりはなかった」と小笠原さん。
 小笠原さんは二年ほど前に引越しで、サンタバルバラに入った。牧師をしている職業がら、多くの人を家に招く。そのことが、日系人同士が出会うきっかけとなった。
 「家に出入りする人がだんだん増えてきましてね。お茶を飲みながら、いろいろ話すようになりました」
 サンタバルバラの別荘で過ごす日系人の多くが、すでに仕事を引退しているという。みんな時間もあるし、自然と人が集まった。
 オーケストラで活躍している揮旗トシオさん(二世)を招いての講演会、ピニェイロスにある女声コーラス団体「ソニア合唱団」の発表会を市主催で行った。日系が中心の同合唱団は、日本語を主体に歌を披露したという。また、日系人向けの健康講演も開催した。
 人が集うようになれば「何かの集まりにしたい」という意見が出されるようになる。サンタバルバラに十年ほど住んでいる人によれば、「日系人の名前を数えていけば、五十家族くらいはいる」と日本人会設立に前向きだ。会の活動には、講演会などのほかに、日本食の教室などが提案されているという。
 「日系人はいるが、横のつながりがなかった」と小笠原さん。「これまでなかったつながりを見つけた。日系の顔が安心感を与えてか、お互いの交流はすぐに深まったよ。私にはみんな、親戚のような気がしてしまう」と日系人の輪を話す。
 十日に行われたクリスマス会には、サンタバルバラの市長も参加。その場で日本人会設立が話された。
 小笠原さんは「ただ日本人だけが親睦をするのでなく、小グループだけど、町の活性化のためという目的を持ってやっていけたらいい。非日系も取り込めるような団体にしたい」。

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