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日本のブラジル人の暮らしに役立つ情報=静岡県中部、ポ語で放送=日系人ら番組制作=親身なボランティア活動

2007年5月22日付け

 【静岡発=池田泰久記者】「日本に暮らすブラジル人にもっと日本の文化や防災情報を知ってほしい」―。静岡県中部地区に暮らす外国人にむけて、防災や暮らしに役立つ情報を伝えるラジオ番組、「TAKE・FIVE(テイク・ファイブ)」が、静岡市国際交流協会の支援事業として同市のFM局で放送されている。
 同番組は、日常生活や災害時の緊急情報を伝えることを目的に九八年にスタート。地域の外国人ボランティアの手で制作され、ポルトガル語をはじめ中国語やスペイン語、タガログ語、英語の五カ国語で毎週一回十分ずつ放送されている。
 「ブラジルの治安に比べれば地震なんてどうってことないと思っているブラジル人が案外多くて…、だから一番は防災情報」。ポ語制作スタッフの代表、堀内アリッセさんは番組の目的をこう強調する。わずか十分の放送時間だが、「東海大地震に備えての今月のワンポイント・アドバイス」として、非常用携帯バックの用意など、毎回具体的な情報を紹介している。
 ポ語版の放送がはじまったのは三年前。〇四年の新潟県中越地震の際に、日本語がわからないために「悲惨な状況にあったブラジル人が多かった」ことを知った堀内さんらが、大地震の発生が想定される静岡でも緊急時のポ語の情報源が必要になると考え企画した。
 番組収録は堀内さんのほかに、日伯両語に堪能な日系ブラジル人ら三人が担当。当初は月に一度だった放送も昨年は月に二回、今年からはリスナーの要望もあり毎週放送している。取材に訪れた五月初旬の収録では、防災情報のほかにゴールデン・ウィークに家族で楽しめる地元の行楽地などを紹介していた。
 堀内さんはパラナ州クリチーバ市の出身で、文部省(当時)の国費留学生として来日、日本人と結婚し十九年間日本で生活している。現在は同交流協会の相談員として働くほか、地元の私立大でポ語の授業を受け持っている。休日には町内会の避難訓練や市の防災に関する講習会などに自主的に参加しているという。
 番組収録後、制作メンバーの一人で同じく日本人と結婚し十九年間無帰国で同市に暮らす丸山イザベルさんは、「番組は短い時間だけど楽しく和やかな雰囲気を大事にしている」と笑顔。堀内さんは「防災情報は日本に暮らす外国人にとって必要なこと。できるだけ多くの人にこの番組を知ってもらいたい」と今後の目標を語った。
 ポ語版の放送は、毎週金曜日午前六時五十分から76・9MHzで聞ける。収録内容は同番組のホームページでいつでも視聴可能。http://www.voiceblog.jp/same/

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