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カルモ桜祭り、雪割の花びら舞う中=「先輩からの遺産」=矢野委員長=大事にしていく決意

2007年8月11日付け

 二十九回目を迎えたカルモ桜祭りが五日、サンパウロ市イタケーラ区の同公園で開かれた。
 同祭りは聖東地域の十四文協からなるカルモ公園桜イペー植樹委員会(矢野ペードロ委員長)が実施するもの。公園内の桜園には、七百本のヒマラヤ桜を中心に雪割など計約千五百本の桜が植えられている。祭りは毎年雪割桜が咲く八月に合わせて開かれ、多くの人が訪れる。
 今年は六月の晴天続きで開花の早まりが心配されていたが、先月に入ってから気温が下がり、祭り当日は八分咲きとまずまずの状況。雪割桜のほの赤い花が咲き誇る中、今年も大勢の人が足を運んだ。
 正午から会場で行われた開会式には、ジルベルト・カサビ市長はじめ日系市議、ラエルト・デ・リマ・テイシェイラ・イタケーラ地区長など市、地域関係者のほか、伯日議員連盟副会長の飯星ワルテル連邦下議、丸橋次郎首席領事やJICA聖支所の野末雅彦所長、松尾治県連会長など日本政府機関、日系団体代表ら多数が出席。
 昨年に続いて祭りを訪れたカサビ市長は、「桜は日本とブラジルの交流のシンボル」とあいさつ。日系人が同地域、またブラジルの発展に果たした貢献を強調し、桜の開花と同祭りを「日系人の貢献を思い出し、日伯の未来をつくる機会に」と述べた。
 今年はあいにくの曇り空だったが、舞台前の広場では午前中から、地元、近郊文協の人たちが踊りやYOSAKOIソーラン、笠踊りや和太鼓などを披露。
 植樹委員会の参加文協による焼きそば、ギョーザ、天ぷらなどの屋台も出店し、来場者の長い列ができていた。桜園の入り口ではヒマラヤ、雪割の苗が販売され、「来年咲く?」と聞く来場者の姿も。これらの収益は、これから一年間の桜園の管理費用などに使われる。
 にぎわう会場で「市や企業、日系団体の皆さんのおかげで盛大に開催できました」と、関係者への感謝を表す矢野委員長。「先輩からいただいた遺産をいかに保存していくかが大事なこと。継続してきれいな花が咲いてもらえるよう考えていきたい」と語った。
 百周年を迎える来年は、カルモの祭りも三十回の節目を迎える。
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 今年の桜祭りには、パラナ州パラナグアからもバス二台の来場者があった。
 遠路はるばる訪れたのは同地の老人会、婦人会の人たちで、約六十人。
 老人会の大石武司さん(84)と植樹委員会前委員長の西谷博さん(現名誉会長)が俳句を通じて親交があることから、前夜のバスで来聖した。大石さんは静岡県出身。「山桜のつぼみを見ると、今でも思い出しますよ」。
 海抜が低く気温の高いパラナグアでは、沖縄桜は咲くが、他のヒマラヤ、雪割などはよく咲かないという。かの地の沖縄桜は、二十年ほど前にガルサの桜祭りを訪れた際に買って帰ったもの。今でも咲いているそうだ。
 花とつぼみの混ざった満開間近の雪割の枝を見つめ「この桜はおとなしいね」と大石さん。「今年は雪割を植えてみようと思います」と話していた。

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