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オカリナや舞い=麻生さん演奏会=老ク連会員らを魅了

2007年9月1日付け

 オカリナ奏者、麻生圭子さんの「演奏会」が、去る八月二十二日、ブラジル日系老人クラブ連合会(重岡康人会長)本部センターで開かれた。千葉出身の麻生さんの公演には、同県人会創立五十周年記念式典(二十六日開催)のために来伯した、里見流家元、里見香華さん、パーカッショニストの鶴勝英さんが特別出演し、会場を盛り上げた。日本のなつかしいメロディーに耳を傾け、出演者のトークに大いに笑った二時間。九十人近くがサロンに参集し、公演後には「よかった」「よかった」と満足そうな笑顔を見せた。
 オカリナは、素焼きで作られる涙滴状の形をした気鳴楽器で、本体に開いた穴をふさぐことで音程を調節する。五十嵐司副会長は「めったに聞く機会はないので、十分に聞き入ってください」と冒頭紹介した。
 麻生さんの来伯は昨年に続き、二回目。十歳からフルートを始め、武蔵野音楽大学器楽学部フルート科を卒業している。
 麻生さんは「ブラジルは今は春だから」と、まずフルートを手に琴で演奏される「春の海」と「浜辺の歌」をリリアン・ブレッサ・カナシロさんのピアノの伴奏で奏でた。
 次にオカリナを取り出して「日本の曲はメロディーがシンプルでやさしいので、オカリナの自然で柔らかい音がよく合う」。「春の小川」「埴生の宿」「もみじ」「旅愁」などや、「里の秋」「月の沙漠」といった千葉で作曲された曲を披露した。
 素朴でまろやかな音を出すオカリナ。初めて見る楽器を覗き込んでいた来場者は、演奏が始まると体を左右にゆすり頷きながら、その音色に聞き入った。思わずハミングを始め歌を口ずさむ人や、しんみりとした雰囲気に目頭を押さえる来場者の姿も見られた。
 続いて、特別出演の老ク連踊り教室と、里見さんが舞いを披露。拍手を浴びた。
 また、鶴さんは、朝寝坊したことに対し『いいですよ』と笑ってくれたブラジル関係者の話やプログラムのない演奏会を例に「変わることがブラジル式、こっちに来るとアバウトになってしまう」と、軽快な会話で会場を笑いの渦に巻き込んだ。「泳ぎ方を習うおばあさん」と「三途の川」の漫才には、隣の人に寄りかかりながら笑い続ける来場者が多くあった。
 同氏は、千葉が竹の産地であることから、竹を使った楽器の演奏家でもある。ギターを弾きながらオリジナル曲を数曲歌ったのち、「弓張竹」という竹で自作した楽器を用いて、「赤とんぼ」や「七つの子」「草原情歌」などを演奏した。
 最後に、麻生さんが「上を向いて歩こう」「イパネマの娘」をオカリナで奏して「ふるさと」を来場者とともに熱唱。
 五十嵐副会長は、「このたびの公演では〃大旅行〃をしてしまいましたね」。「春の小川」で小学校時代、「浜辺の歌」で中学校、日本舞踊を見て神代の時代までさかのぼり、三途の川まで出てきた、と話し、「よく楽しませていただきました」と、お礼を述べた。
 参加者の小田耕行さん(78)は「歌もよくて色々あって、すばらしかった」。坂上美佐子さん(77)は「(古い歌だけでなく)若い人の歌も聞けてよかった」と、満足そうに帰路についた。

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