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宮城の敬老金 来年廃止か=奈良、秋田に続き最後の一県も=「続けてほしい」と中沢会長

ニッケイ新聞 2007年11月01日付け

 宮城県人会(中沢宏一会長)は恒例の「第三十五回宮城県人会敬老祝賀会」を、十月二十八日午前十時から同県人会で開催し、約三百五十人が参加した。現在高齢者に対する祝い金支給を実施しているのは宮城県のみ。その宮城でも、支給額が昨年までの一万円から、今年は一人五千円に減額された。来年には予算の都合で廃止される可能性もあるという。中沢会長は「ぜひ続けてもらいたい」と話している。
 先細りの続く、在伯高齢者への敬老祝い金。一昨年には奈良県人会、続いて昨年には秋田県人会で母県からの祝い金が廃止された。現在実施されているのは宮城と愛知のみだが、愛知は白寿者を対象としたものであり、常に高齢者に渡されるのは宮城だけになっている。
 愛知県では九二年ごろから八十歳以上を対象に敬老祝い金を支給。その後、〇二年ごろから白寿者のみが対象となり、敬老会が行われる年に九十九歳になる人に母県から約三万円弱が支給されている。
 伊藤アンテノール県人会長は「継続して続けて行きたい。現在のところ打ち切りの予定はない」と状況を説明する。
 宮城県の敬老祝い金は今年で三十五回目を数える。最も高い時は五百人ほどの高齢者に二万円が支給されていたという。
 その後、支給額は一万円に減額、昨年まで続いたが、それも今年から五千円(約七十三レアル)へと減額。来年には予算の都合で廃止となる可能性もあるという。
 最後の一県となった宮城県。「なんとしても残していきたい」と話す中沢県人会長は、「値段が問題ではなく、年に一度集まる機会が必要だ」と、敬老金の意義を強調した。

宮城敬老会=103歳浜田翁もかくしゃくと

 今年の宮城県人会の高齢者(七十歳以上)は、三百八十人で、その内約百五十人が出席。八十八歳以上は八十九人の内十九人が参加した。参加者の中には最高齢の浜田敬三さん(103歳)の姿もあった。
 式典では先亡者への黙祷、続いて中沢会長は挨拶で高齢者の元気な姿に喜びを表しつつ、「日本はブラジルに移住した人々を忘れていない」と口調を強めた。
 新規受給者四人が紹介された。敬老者を代表して小関敬一相談役、新規受給者を代表して佐藤栄紀書記がそれぞれ謝辞。佐藤書記は「まさか自分が受給対象者になるとは思わなかった。母県には金額に関係なく長く続けてもらいたい」と継続を願った。八十八歳以上の高齢者の名前が呼ばれ、参加者した十九人に祝い金が手渡された。
 最高齢参加者の浜田さん。身分証明書では一九〇四年七月二日生まれとなっているが、本人によれば「父親が日露戦争に関係していたため申請が遅れた。父親と一緒に歩いて申請しにいった。現在は百六歳」という。敬老会の会場で「お祝いしてもらうのは嬉しい」と率直な感想を話した。
 宮城県の民謡「さんさ時雨」を出席者全員で唱和した。渡辺勇副会長の挨拶で閉会。相沢弘二相談役の音頭で乾杯が行われた。
 乾杯後は、婦人部が腕によりをかけたカレーに舌鼓を打ちつつ、舞台演芸を鑑賞しながら参加者たちは昔の仲間と談笑していた。

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