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『東芝の森』=パラグアイで第2号始動=オイスカが住民参加で実施

ニッケイ新聞 2007年12月29日付け

【既報関連、アスンシオン発】パラグアイの首都アスンシオン近郊にあるカラガタウで去る十二日「東芝の森」の植林が行われ、住民三十名がヤトロファ(Jatropha)の苗木百本を植えた。苗木は、イグアスー日本人会の日本経団連自然保護基金の助成で建設した育苗センターで育てられたもの。
 パラグアイにおける「東芝の森」の第一号はすでにイグアスー移住地で動きだしており、カラガタウは二番目となる。この地ではオイスカ・パラグアイ総局が零細農民の生活向上を支援する一環としてパ国原産と言われる〃ステビア〃の栽培を計画しているため、裨益住民は部落単位に三つのグループを組織している。
 十二日の植林にはこれら三グループの男女が参加した。全員が初めて体験する「木を植える」行動のため、過半数、とくに女性、は作業服でなく、外出着姿だった。これも新しい第一歩の現実だ。
 ともあれ、植林は〃ハレ〃の行為に相当する。大地と自然に対する畏敬の気持ちを木を植えることによって表現する行為だからだ。初めて木を植える者にとっては一種の儀礼にも相当するため、今回の参加者の服装は純粋な気持ちの現れであろう。
 今は夏のため、パラグァイでは植林の適期ではないが、ブラジルでピノン・モンソと呼ばれているヤトロファは暑さと乾燥に強い特性を備えているため、今でも大丈夫、と判断した。東芝本社の担当者が現場を視察した(本紙・十一日報道)ことが、今回の行動を誘発した。パラグァイを代表する日刊紙の一つ、ABC紙が去る五日の朝刊でヤトロファを特集したように、パラグアイでもヤトロファに対する国民の関心が高まってきている。
 ヤトロファは、バイオエネルギー源の有力候補の一種として世界的に脚光を浴びている多年樹でもある。成長すると、一本の木が一年間に二酸化炭素を平均八キログラム吸収するという試験結果も発表されており、天然のエネルギー源としてと同時に温暖化対策にも役立つと注目されている。今回植えられた百本の苗木が順調に育てば、合わせて一年間に八百キログラムの二酸化炭素削減にも役立つことになる。
 「東芝の森」第二号の植林は現場が首都圏に近いこともあり、都市部に住む人々に対する自然保護意識の啓発が込められているようだ。現場のカラガタウでは高知県出身の久岡寛さん(オイスカ・パラグアイ役員)が、住み込み同然でステビア栽培と植林の指導の中核を担っており、「東芝の森」が持続可能性を充分に秘めているのが心強い。
 同地域には日系農家十二家族が定住して農業に携わっているのも強みだ。十二日の植林に参加した住民たちが、ヤトロファを自分たちの庭や空き地に植える意欲を見せたことから、すでに啓発効果が出始めている。イグアスー育苗センターの苗木供給体制も万全だ。

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