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飯星下議が訪日報告=出稼ぎ関係者とも懇談=経済提携に明るい展望

ニッケイ新聞 2008年2月12日付け

 伯日議員連盟のメンバーである飯星ワルテル下院議員が十一日午前、ビラ・マリアーナ区の事務所で記者会見を開き、先月二十五日から約一週間の訪日成果を報告した。議員団は、アルリンド・キナリア下院議長を団長に議員ら十人で構成、日本側は、河野洋平衆議院議長、江田五月参議院議長が対応した。
 飯星氏によれば、「日伯交流年に対する認識は大きかった」と話し、環境問題や国連常任理事国など様々な分野に関する話し合いが行なわれたという。
 在日ブラジル人問題に関しては、「年金通算協定の問題については今年中に決着するのではないか。外務省レベルでも一番の解決法を模索しており、有望な協力関係を作る第一歩が刻まれたのでは」と楽観的な見方を示す。
 一方、一定数の出稼ぎが両国のいずれからも支援を受けておらず、青少年らが言語の問題で日本の学校に順応することができず、非行などに走っている現状も指摘。
 私立のブラジル人学校の学費はあまりに高いものなので、出稼ぎの現状に即していないこともこれからの検討課題とした。
 両国の経済関係について、代替エネルギーとしてのエタノールに大きな関心を持っている日本側から、「安定的供給のため、長期間にわたる投資の可能性を検討したい」との発言もあったという。
 飯星下議によれば、ブラジル訪問団は日本の国会での対応に非常に満足した。「本会議場で我々を歓迎して一分間ぐらい拍手してくれた。これは両国友好を顕すものです」とその感激ぶりを伝えた。なお、一行は、広島と浜松を訪れ、両市長とも懇談。
 特に浜松では出稼ぎの地域リーダーとも懇談、鈴木康友市長も出席した。
 「若いリーダーシップを持った市長は、ブラジル人社会とも非常に近い立場にあると感じた」という。
 年々、門戸が狭くなる外国人入国制限に鈴木市長も反対の立場を取っている一人で、「出稼ぎがいなくなると、日本の下請け企業の存続も難しくなる」との考えを示したという。
 飯星議員は、「今回の訪日によって、参加議員らが両国間の問題と現状を認識できたと思う。これからブラジル側でその解決に取り組んでいきたい」と会見を締めくくった。

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