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リオデジャネイロ州=デング蚊で強制家宅検査=保健組織法を適用=ブラジルでは初めてのこと=非常事態が錠前破りを是認

ニッケイ新聞 2008年3月28日付け

 リオデジャネイロ州のカブラル知事(PMDB=ブラジル民主運動党)は二十六日、デング熱(熱帯シマカ)伝染防止のため非常事態宣言を発令し、住宅への強制立ち入りを可能にする保健組織法の適用を定めた。公共保護機関の職員は治安関係者と錠前破り師を伴い、家主の許可を得ずとも昼夜を問わず立ち入り検査を行うことを是とする。同法が適用されるのは、ブラジルで初めてのこと。ベロ・オリゾンテ市も、リオ市に倣い同様の措置を採る模様。
 デング熱で五十四人の犠牲者を出したことからリオデジャネイロ州は、デング蚊の発生源を一掃するため合法的家宅侵入条例を定めた。デング熱は二〇〇二年から周期的に同州を襲い、これが三度目だ。デング熱はいまや、人類に襲いかかる数々の疫病の一つとされている。
 官報の公示によれば、三回目の訪問で点検不可の場合、強制的に不動産を開示する。適用範囲は、カンポスやアングラ、ナチビダーデ、カンタガーロ、ベルフォード・ロッショ、カシアス、ニロポリス、ニテロイ、サンゴンサロなどの地方部にも及ぶ。
 同州には別荘が多く、シーズン以外は閉ざされている。また、関係者以外の立ち入りを禁止するコミュニティが多いのも特徴だ。閉ざされた住宅では、デング蚊が全く駆除されることなく繁殖する。同州はいま、保健所を初め、消防隊や軍警も総出で蚊退治に挑戦している。
 リオ州に続いてベロ市も、保健組織法の適用を検討中だ。同法の適用はこれから、全国へ波及すると予想される。保健組織法には、統一保健プラン(SUS)活用で専門家以外の協力者にも治療現場への動員を認めている。
 リオ市会計検査院は、同市が五百五十万レアルをデング蚊対策につぎ込みながら、二三%を救急車のレンタルや病院の清掃費へ流用し、保健省から注意されたことを明らかにした。
 また連邦政府は二〇〇六年、リオ市へ一千八百十万レアルを交付と発表し、実際に一千二百七十万レアルしか送金しなかった。しかし、リオ市の支出は一千三百八十万レアルになっている。リオ市のデング対策は、経理処理で見るかぎり機能不全であった。

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