ニッケイ新聞 2008年4月4日付け
米金融危機はブラジルへのドル流入を引き止めるには至らなかったと中央銀行が二日、発表と三日付けエスタード紙が報じた。三月は為替の追い風で八十億五千万ドルが、ブラジルへ入った。同額は昨年七月以後、最も好調な流れで投資家は米国のリセッションを意に介していない様子だ。同送金の多くは、貿易関係の取引資金である。流出を差し引いた正味残高は、六十六億六千三百万ドルであった。
三月末、僅かにドル通貨が引き上げられ、輸出業者は活気づき為替先約契約が続出した。その他に確定利つき投資ファウンドの配当率が三月十七日引き上げられ、税制改革による外国人への増税を避ける投資資金の殺到が予想される。
三月の貿易は、輸出が前月比三三・九%増、金額にして百六十五億三千二百万ドル。輸入のための為替契約は、九十八億六千九百万ドルで僅か一・九%増だ。中銀は為替契約で統計を採るので、産業開発省発表とは差がある。
産業開発省は、港湾の積み下ろし量で統計を採っている。輸出業者がドル通貨の動向で為替契約を早めたり遅らせたりするから、積み下ろし量とは大きく差異を生じる。輸出業者の多くは、三月半ば一ドルが一・六七レアルから一・七五レアルに高騰したのをよい風向きと読んだ。
三月末の外資差し引き残高は、前月比一三八・九%増であった。これらは、新たに課税される一・五%のIOF(金融税)を逃れるため。四月からは、輸入の増加に比べて輸出が劣勢であるため外資の流入はやや下火になる模様。
米パニックをよそにブラジルの金融市場は一日、活気を呼び戻した。レーマン・ブラザース投資銀行が危機一髪のところで資金を調達し、九死に一生を得たことから恐慌は先延べされたと見たようだ。
ブラジルがいくら頑張っても米国の不景気病から逃れることは、難しいとルーラ大統領が思っているらしい。大統領の得意技は、危険と悟ったら逃げることに長けていることだ。大統領は米不景気病からも、うまく逃げてくれるか。