ニッケイ新聞 2008年4月17日付け
ポン・デ・アスーカル大油田の反響が世界の注目を惹くところとなり同鉱床の試掘関連企業の株は十五日、証券市場で軒並み急騰した。ANP(国家石油庁)のリーマ長官発言は、公式発表でも確認した情報でもなく、ゼミの講演で世界第三番目の大規模油田の可能性を仄めかしたもの。ロンドンでもペトロブラス共営企業のBG株は、五・四%高。マドリードではRepsol株が、九・二八%高となった。
共同試掘でなくても、ペトロブラス関連企業の株は、世界の証券市場で一斉に値上げした。軽率発言で鉱動相や証券委員会(CVM)からけん制されたリーマANP長官は、政府機関の一員として事実を明かして何が悪いかと開き直った。
国際エネルギー連盟(IEA)は、第三番目規模の大油田が存在することで世界のエネルギー事情が、ブラジルを舞台の主役にするという。大油田発見のニュースは、ブラジルばかりでなく世界にとっても朗報だと位置付けした。
ツッピー油田も朗報だが、その五倍となるとブラジルを見る世界の目が変わる。ブラジルは、石油戦略政策を採る必要がある。同油田に対しブラジルはいくら投資できるのか。小銭ではないので、額とその有効性が問題となる。これからは、世界が黙っていない。
これほどの規模の油田が現れれば、当然、世界諸国が食指を伸ばす。ブラジルは地下に眠る大量の原油を先物市場で、どう処分するのか決める必要がある。ブラジルは処分量を上手く調整し、石油価格を暴落させたりしないと思うが、諸外国に美味しいところを持ち去られた国民は恩恵に預かれない可能性がある。
石油輸出国機構(OPEC)というのがある。アンゴラとエクアドルが最近、加入した。ブラジルにも、声をかけてくると予想される。加入には、三つの条件がある。一は石油を輸出する。二は機構の方針に従う。三は加入を強制しない。要するに、国際的な石油カルテルである。
カルテルは、世界経済の発展や産業の興隆に貢献しない。OPEC加盟国は、旧体制にあぐらをかき特権階級だけが恩恵に預かっている。他人を助けることがない体質のOPECは、ブラジルのためにも世界のためにも役に立たない。