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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2008年7月5日付け

 国外犯処罰要請に基づき公判中のネベス被告が釈放された。これに関連して、一部の日本メディアからは、遺族の言葉を代弁し、犯罪人引き渡しを求めるような飛躍した印象の記事も出ている。
 記者も親子三人を殺害逃亡した被告に、なぜ釈放が認められたのかと思う。日本側の遺族や警察関係者とっても当然の感情に違いない。
 ただ、日系の専門家が言うには、今回の被告釈放は、弁護側が知恵をしぼって正当に請求したものであり、高等裁もブラジルの法体系に基づき正当に判断したということに過ぎない。
 今回の一件で、せっかく積み上げた代理処罰を否とする感情的な論調が強くならないことを祈る。他の代理処罰の裁判でも、日本の常識を越えるようなことは十分に有りえる。そうしたときにも両国の法体系を踏まえて、冷静に捉える視点が必要だと感じる。(泰)

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