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外国人生徒の日語学習支援=愛知県=7億の基金民間から募り=教室助成、指導者派遣も=県レベルでは初の試み

ニッケイ新聞 2008年7月25日付け

 愛知県は二十二日、県内外国人児童生徒の日本語学習を支援する事業を開始すると発表した。民間による約七億円の基金を創設し、外国人学校への指導者派遣、民間日本語教室への運営費助成などを行なうもの。外国人児童の日本語理解を支援することで、不就学や不登校などの問題を解決し、日本社会への適応を促すことを目的としている。事業開始は今年十月から。都道府県レベルでは初の試みとして、その成果が注目される。
 このほど発表された日本語学習支援事業の対象となるのは、日本語学習を希望する学齢期(満六歳から十三歳)の外国人子弟と、母国の教育を行なう外国人学校。
 事業では、県国際交流協会に目標額七億円の「日本語学習支援基金」を創設。この基金を、民間の日本語教室への運営経費・授業料、日本語能力試験受験料の助成や、外国人学校への日本語指導者派遣・学習教材給付などにあてる。
 そのほか、日本語教室へのアドバイザー派遣、日本語ボランティア養成事業なども計画されている。
 基金は企業、市民ら民間から募る方針。五年間の事業期間で使い切る形だ。共同通信によれば、現在一億数千万円が集まっているという。
 県では今月末から同事業の説明会を開催。八月中に日本語教室、外国人学校からの助成申請を受付け、有識者からなる基金事業審査委員会が審査する。十月から日語教室での学習、外国人学校への指導者派遣を開始する予定だ。
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 二〇〇七年末現在で愛知県内に居住する外国人は二十二万千三百八十三人。県の発表によれば、うち学齢期の外国人児童は約一万四千人と見られている。
 同事業は、日本語の理解が不十分なことが不登校、不就学につながり、外国人子弟の日本社会への適応をさまたげる原因の一つになっていることに対し、県が率先して日本語習得の環境整備に乗り出した点で画期的な試みと言える。
 県内で最も多い外国人はブラジル国籍者で七万九千八百九十九人。正確な統計はないが、人口比から見れば、学齢期のブラジル人子弟の数は約五千人以上に上ると推測できる。事業の推進が、デカセギ子弟の教育環境改善につながることが期待される。

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