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イグアスー移住地=広がる「東芝の森」=完了間近の2万本植林=22日に入植47周年=〃信濃の森〃構想も

ニッケイ新聞 2008年8月9日付け

 【イグアスー移住地発】ブラジルとの国境に近いパラグアイのイグアスー移住地で「東芝の森」の植林が順調に進んでおり、目標の二万本まであとわずかとなった。植林地はイグアスー日本人会の所有地で国境から五十三キロの地点に広がっている。首都アスンシオンに通じる国際道路に面しており、まさに衆人環視の立地条件に恵まれている。道路わきに立つ看板(写真)はPR効果満点だ。
 日本を代表する家電企業の一つとして世界中に市場を持つ(株)東芝は二〇二五年に創業百五十周年を迎える。その記念事業の一環として動き出したのが「150万本の森づくり」構想だ。
 イグアスー日本人会(公文義雄会長、高知県)が日本経団連自然保護基金の協力を得て植林活動を着実に展開していることに注目した東芝が、(財)オイスカ(本部東京、中野良子会長)を通して二〇〇七年に日本人会に協力を打診してきたのが始まり。同年十一月に植えられた初期の千五百本は順調に生育している(本紙〇七年十二月十一日報道)。
 今回、国際道路に面して植えられた約一万本の姿は圧巻で見る人の目を引きつける。植林前後に恵みの雨が降ったため、苗木は根を伸ばし、若葉を葺きはじめている。自然保護が目的であるため、十種類以上の在来種が中心に植えられている。
 日本人会の中に自然環境保護委員会(竹内一郎委員長)があり、植林後の維持管理態勢は万全なので安心だ。残りの数千本は移住地内の複数の日系農家が自主的に協力を申し出ており、苗木も配布済みだ。
 苗木もすべて日本人会所有の育苗センターで育てられている。十月に始まる大豆の蒔きつけまでには「東芝の森」二万本の植林はすべて完了する。
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 来る十日にはアスンシオンと国境の町シルダ・デ・エステ、地元イグアスーの三つの老人クラブが合同で植林を計画している。元気な老人パワー全開だ。
 十二日にはパラグアイ国内を親善公演中の歌姫・中平マリコさんが、翌十三日には、十五日に挙行されるパラグアイ新大統領就任式に日本政府特使として出席する玉澤徳一郎衆議院議員(岩手県)が移住地に立ち寄って記念植樹をすることが決まった。
 十八日には、親善試合のため移住地を訪問する日本大学第三中学校野球部員が植林を行う。「日大第三中学校の森」と命名されるという。二十二日の移住地入植四十七周年を記念して〃万宝の森〃が更に広がるであろう。
 九月には日本やブラジルなどからの長野県出身の有志が「信濃の森」を誕生させる計画がある。森の数が増え、木の育つ面積が着実に広がる、環境保護最前線にいるイグアスー移住地だ。

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