ホーム | 日系社会ニュース | 百周年、文協55周年を祝う=ピラール・ド・スール=盛りだくさんの記念祭典=記念碑、庭園、鳥居も落成

百周年、文協55周年を祝う=ピラール・ド・スール=盛りだくさんの記念祭典=記念碑、庭園、鳥居も落成

ニッケイ新聞 2008年9月6日付け

 【ピラール・ド・スール発】ピラール・ド・スール文化体育協会(阿部勇吉会長)は、八月二十二日から三十日まで移民百周年を記念したスポーツ大会や記念式典を開催した。最終日の三十日には百周年と文協創立五十五周年を記念した祝典が同会館で行われ、多数の来賓者をはじめ約四百人が参加した。当日は先亡者慰霊法要のほか、百周年を記念して市から寄贈された鳥居の落成式、入植当初の写真のスライドショー、芸能祭、盆踊りなども行われ、参加者は楽しい一日を過ごした。
 記念祝典にはルイス・エンリッケ・デ・カルバーリョ同市市長やアンジェロ・パイオッチ同市議会議長、園田昭憲ブラジル日本都道府県人会連合会副会長らをはじめ、約四百人が参加した。
 祝典に先立ち、午前九時からは会館前の通りに建てられた鳥居(高さ五メートル、幅四・五メートル)、記念碑、日本庭園の落成式が南米浄土真宗本願寺(通称西本願寺)の松峯慈晄総長によって執り行われた。日伯両国歌斉唱後、祭典実行委員長の阿部会長、カルバーリョ市長ら来賓者によってテープカットが行われた。
 午前十時からは会館へ場所を移し、先亡者慰霊法要。松峯総長が導師を務め、参加者一人一人が焼香した。焼香後は、松峯総長の法話に一同が静かに耳を傾けていた。
 続けて行われた祝典では、阿部委員長が百周年事業に全面的に協力した市や、祝典への協力者に対して感謝の意を表し「文協会員として、日系人として今後さらに市との協力関係、信頼関係を深めていきたい」と誓いの言葉を述べた。
 上芝原初美文協婦人会会長のあいさつに続き、日語校を代表して鐙野かおりさん(15)が日語、中村清市さん(16)がポ語で「おじいちゃん、おばあちゃんのおかげで良い生活ができるようになった」と感謝の気持ちを述べ、「日本人のような立派な大人になり、日本文化を伝えていきたい」と力強くあいさつした。
 来賓者もそれぞれ祝辞を述べ、カルバーリョ市長は「今のピラールがあるのは日本人移住者のおかげ」と感謝の意を表した。
 表彰式では同地への入植者第一号の長浜フデさん(103、鹿児島)をはじめとする八十歳以上の高齢者二十八人へ表彰状と記念品が贈られた。受賞者を代表して須山秀子さんが「身に余る光栄なことです」と感慨無量の面持ちで謝辞を述べた。
 祝典に続いて、入植当初からの写真が会場内に写しだされると、当時の苦難の道のりを思い出すように感慨深げに見る人や、懐かしい写真に時には笑いも起るなど、それぞれの想いを胸に見入っていた。
 祝典後の昼食会では、婦人会が中心となって準備した料理に舌鼓を打ちながら賑やかな時を過ごした。
 午後二時、会食で賑やかだった会場が日語校の親友太鼓の演奏が始まると瞬く間に静まり返り、会場には太鼓の音だけが響き渡った。その後も、YOSAKOIソーランや合唱、婦人会会員の踊りなどが披露され、舞台に注目が集まった。
 午後七時からは同体育館に櫓が組まれ、毎年恒例の盆踊りが行われた。地元住民だけでなく、イビウナやカッポン・ボニートなど近郊の文協からの参加もあり約一千人の参加者で盛り上がりを見せた。盆踊りの合間には餅まきも行われ、お年寄りから子どもまで一緒に楽しんだ。
 上芝原実夫祭典副委員長は「日本人とブラジル人が一体となって最高の祝典だった」と、笑顔を見せ「今日のことを子どもたちが覚えてくれているはず」と子どもたちへの期待の気持ちを言葉にした。

image_print