ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

危機対策で中銀に特権付与=中小銀へ行政介入も=国家通貨審議会が白紙状=救済案に画餅批判上がる

ニッケイ新聞 2008年10月11日付け

 国家通貨審議会(CMN)は九日、民間銀行の経営に介入できる特別権限を中央銀行に付与と十日付けフォーリャ紙が報じた。特別権限は、民間銀行が有する債権の強制預託や配当供与の保留、役員賞与の可否判断を可能とする。民間銀行と長い懇意関係がある企業と金融機関の情状融資にも中銀が介入し、不良債権の蓄積を避ける方針。
 中央銀行は、経営難に陥っている金融機関の救済に、必要なだけ公的資金を投入できる白紙委任状をCMNから貰った。この特別権限により中銀は、金融機関の現金出納や債権交換、抵当物件の鑑定、決済能力の認定などで行政指導を行う。
 六日に公布された中小銀行救済の暫定令は、CMNが細則を条文化し、中銀の特別権限を明白にした。中銀は銀行経営に直接介入を行い、経営難に陥る前段階で手を打つ権限を与えられた。
 介入の条件は、銀行が手持ちの保有債権を保証物件として中銀に預けること。中銀から見れば、レアルまたはドル建て債権の強制預託になる。経営難によって中銀の救済を求める銀行は、中銀の行政指導下に入る。
 そのような銀行の経営者は、手当てや賞与を取り上げられる。株主の配当も保留となり、中銀の判断で酌量される。歴代政府は過去、何度も金融危機で苦杯を飲んだ。過去の過ちは、繰り返さない考えのようだ。
 中銀が救済のため融通する資金は、銀行が再融資に使う資金ではなく見せ金だ。過去において、中銀が経営難の中小銀救済に融通した資金制度は全て失敗した。銀行が誰に融資したか、中銀は知らないからだ。
 CMN対策を金融関係者は、画餅だと見ている。中銀が債権を担保に中小銀を行政指導するといっても、実際に中銀が細部に渡って監督するのは不可能という。中小銀行の悩みは、市場の資金枯渇ではなく大手銀行が資金を抑えて還流させないことだとしている。
 経営者や幹部の賞与を取り上げるのは、働く喜びを取り上げるもの。中銀が預かる債権は、優良債権だけ。しかも、救済資金の一二〇%に当る債権提出を、中銀は要求する。つまり、百レアルを中銀から融通して貰うなら、百二十レアルの債権を出せというお触れだ。
 救済資金は、レアルにせよドル建てにせよ返済期限は一年。期限を過ぎると債権は競売にかけられ、二十レアルが丸損になる。中小銀行からは、中銀の金融救済案の実効性に対する疑問の声が上がっている。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button