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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年10月21日付け

 数ヶ月前に先輩から旧制高校の話を書いた本を2冊借りて読む。戦後教育を受けた遯生にとっては、東京の1高や京都3高の寮歌を歌う程度であり、旧高校生の勉強ぶりや志の高さはよく知らない。かなり破目を外し暴れもしたらしいけれども、語学も達者で難解な哲学書を独仏語などの原書に接し仲間で激しい議論もする▼とにかく、猛勉の日々であり、青春の悩みに苦悩し煩悶する学生もいっぱいで熱気に溢れていたそうである。ここを卒業した人々が厳しい試験に通り旧帝大に進学する。ところが、この旧帝大は9つだけだからー彼らは頭脳明晰だったにちがいない。と、これは昔の学制なのだが、戦後になると「駅弁大学」ばかりが続々と誕生し今や国立が99で私立は600を越える▼従って「大学生」は多い。当然ながら「教授」も掃いて捨てるほどに満ち満ちており世に溢れている。今や高校は義務教育のようなものだし、学生が増えるのは喜ばしい。だがーである。数が増えれば質的な低下もある。とりわけ近頃は底辺の層が急カーブで上昇している傾向が強いのは、どうしたことかと心配する。東大、京大や大阪大など旧帝大と同じレベルとまでは言わないが、これに近づく程度には書籍に親しみ学んでほしい▼ところが、この著名大学にしても、英国のタイムズ紙系による「世界の大学ランキング」によると、東大が19位だし京大は25位、東北大は112位なのである。トップは米のハーバード、2位は米エール大で英ケンブリッジやオックスフォードがこれに続く。と、旧帝大で満足していてはいけないのを先ずは学びたい。(遯) 

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