ニッケイ新聞 2008年10月23日付け
ブッシュ米大統領は二十一日、G8の前にルーラ大統領と伯米首脳会談を行うため招いたと二十一日付けフォーリャ・サイトが報じた。会談内容は、金融危機後の経過とこれからの対策、金融市場への伯米共同介入を話し合う。
今回のG8には新興国代表も招き、金融混乱の波及防止と再発牽制へ適時適打の事後策を、議題にする。米大統領は金融危機が、第二ラウンドへ入ったという見方だ。
ブラジルは、今回の金融危機で致命傷を受けていないので、市場復旧の協力要請らしい。第二ラウンドは、輸出金融と産業の運転資金、消費者ローン、証券市場、GDP(国内総生産)が、重要な課題だという。
一方、二十二日付けフォーリャ紙によれば、G8は「二十一世紀の新資本主義」という宿題を課された。これは、ベネズエラのチャベス大統領がサルコジ仏大統領を訪問したとき、突きつけた質問状だ。
サルコジ大統領は金融危機後、自由経済の暴走を反省した。その後既存システムの欠陥を知りながら代案がなく、ブレーキを踏んだまま金融市場は走行している。金融危機が国家管理を求め、民間活動を制限する方向へ傾いているようだ。
EU中銀のトリチェ総裁はヘッジ・ファンドが、政府の目が届かないタックス・ヘイブンで資金を運用し、治外法権にあることを指摘。格付け会社の評価や国際通貨基金(IMF)の対処にも、問題があるという。
資本主義の矛盾が、金融危機で噴出したのは事実だと仏大統領も認めた。自由経済に逆行する保護主義が、叫ばれている。現在の証券制度では、大手企業の株主が誰か分からない。米大手銀行は、日本資本の配下にあるかも知れない。メーカーは、中国資本の配下かも知れない。
資本主義は、軌道修正が必要だ。サルコジ大統領は、中国やインドを訪ね、二十一世紀の資本主義を模索すると述べた。