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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2008年12月11日付け

 仕事として書くことを始めてから、これまで以上に、「文は書く人そのもの」だと強く感じる。
 一人一人性格が違うように、個々の文にも個性があり、筆者の経歴や物の見方、語彙、情報の集め方、文章の構成などが様々な味を醸し出す。
 大上段に自己満足の文を書いていないかなど、考え出したらきりがないが、教会の牧師が「説教の準備にどの位時間をかけるか」と訊かれ、「自分の一生のすべて」と答えたという話もあるように、個々の文は書き手の人生の集大成。理想にはほど遠いことは認識しつつも、ことばを大切にし慰めや安らぎを与える文が書けたらとも思う。
 米国大統領の面接を受け、顔を見ただけで断られたという話では、大統領は「顔に責任を持たねば」と言ったという。大統領の眼力も流石だが、自他の文を読んでの個性発見も文の楽しみのひとつかも知れない。(み)

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