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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年1月15日付け

 全ブラジルで日本語を勉強する青少年(十三歳~十六歳)が交流する『日本語ふれあいセミナー』には、すでに一千人以上が参加している。今年で十年の節目を迎えるにあたり、北海道協会会館で二十三日に開催される記念式典には、第一回目の参加者を含め、百四十三人の〃OB〃が出席する▼「皆さんのおかげでやっていける」。主催団体であるブラジル日本語センターの理事で実行委員長の志村マルガレッテさんはそう話す。年々減少するJICAからの支援に伴い、赤字が出るようになり、開催中止も検討されたという。しかしNECやTHK、味の素、AUTENTEなどの日系企業が協力。もちろん、ヤクルトやサツマヤなど第一回から支援している企業もあり、コロニアが支える事業となっている▼過疎が進む移住地などで勉強の目的も分からず、わずか数人で机に向かう生徒にとっては、仲間意識が芽生える効果もあり、セミナー後には連絡が続いているケースも多い。結婚した参加者がいるというのはご愛嬌だが、若い世代の全伯的な横の繋がりはコロニアの将来の光明といえないか▼昨年あった移民の歴史や日系社会に関する報道の影響から、「日本や日本語に対する見方が変わってきている」(志村さん)と分析する。アメリカやヨーロッパ訪問の経験がある生徒も多いようだが、皇族とのご接見もある「ふれあい日本の旅」でアイデンティティに目覚める生徒も多いとか▼けっして安くはない参加費だが、応募は引きも切らないという。末永く同セミナーが続くことでコロニアの裾野が広がり、日伯関係の人材育成に繋がれば、と願いたい。(剛)

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