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「俺たちガイジン戦隊!」=日語でロックを歌い上げ=会場が縦ノリ、大合唱の渦

ニッケイ新聞 2009年1月22日付け

 「俺たちは電撃戦隊チェンジマ~ン♪」――。激しいロックのリズムに合わせて、日本語の歌がリベルダーデ広場に響く。集まった二百人ほどの観衆の大半も非日系人だが、日本語で大合唱だ。ほとんどが十代後半。縦に飛び跳ねながらバンドに同調する。昨年十二月六日、サンパウロ市の東洋祭りのアトラクションとして披露されたバンド「ガイジン戦隊」の一場面だ。ひたすら戦隊もの主題歌、アニメ主題歌を歌いまくった。
 この「外人部隊」ならぬ、「ガイジン戦隊」という名前を聞いたことあるだろうか。ブラジルにおいては日本移民の方が外人であることは間違いないが、日系コミュニティ外の人という意味で「ガイジン」というコロニア語がよく使われる。それを逆手とって、ブラジル人自らが「ガイジン」を名乗ってバンド名につけたのだ。
 『秘密戦隊ゴレンジャー』(七五年)を元祖とする、いわゆる「戦隊もの」は日本独自の特撮技術を駆使したヒーローもので、アニメや漫画と並んでブラジルでも人気が高い。
 リーダーのノルドン・マンツさん(26)は「元々特撮モノが好きだった。このバンド名にしたのは、僕らは元々ロックバンドで、アニメじゃなくて他のジャンルから来たという意味で『ガイジン』、あとアニメ業界は日系人が多いから、俺たちはガイジンってね」と意味を分かった上でしゃれ込む。
 「八〇年代にマンシェッチTV局で見たチェンジマン、ジャスピオンなんか最高だな。影響を受けたよ」と特撮漬けだった子供時代を振り返る。特撮主題歌のレパートリーはなんと四十曲にもなるという。
 元々目指していたのはロックだった。そのせいか、十二曲あるオリジナル曲はハードだがどこかロマンチックなキングクリムゾンの匂いがする。
 〇四年に現在のバンド(六人)を結成し、アニメイベントなどを中心に活動を始めた。国内でもブラジリア、ベロ・オリゾンテ、ゴイアニア、リオなどでも演奏した。
 ヘヴィメタルの演奏でアニメソングを歌う日本の有名バンド「アニメタル」にもボーカルとして参加した坂本英三さんの南米ツアー(チリ、アルゼンチン)にも、〇八年八月にバックバンドとして参加した。その演奏のレベルはお墨付きだ。
 昨年、自主製作したCD『Gaijin Sentai』では、架空の特撮ヒーローを作り上げて、これまた独自に作った悪役と戦わせる展開になっている。「闇を照らす光、明日への希望が導く」「信じるもののために戦う、いかなるものも私の希望を失わせない」などとストイックなまでに日本語歌詞を歌い上げ、きめの部分ではきっちりと「デフェンダー!」というヒーロー名を連呼合唱する特撮ものスタイルを見事に踏襲する。
 一見、無骨そうな革ジャン姿だが、「日本の特撮には米国のとはまったく違うメッセージがある。センチメンタルなところが俺たちには合っていると思う」と熱く語る。アニメや日本文化の聖地ともいえるリベルダーデ。「ここで歌うことは、なにか特別な感じがする」
 こんな日本文化ファンがいる限り、まだまだ日伯文化融合は続いていくに違いない。

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