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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年3月12日付け

 「駄目」という言葉は元来、双方の境にあり、どちらの地にも属さない場所を意味する囲碁用語だそうだ。石を置いても無駄になる目、転じて、してはいけないことに使う。さて、今回の文協選挙。体制側の事実上トップである渡部和夫氏は囲碁の名手だそうだが、どうやら今回は「駄目」を打ったといっていい。七日付け本紙七面で報じたが、吉岡黎明氏を次期会長候補としたシャッパ作りを進めている▼現在、文協には大きな課題が二つある。百周年で日系人であることを意識した若年層を取り込み、全伯日系団体の連携、結束を強化すること。もう一つは、世界的な不況で大量帰国が予想される日系人の対応策を練ることだ。特に子供たちの教育は喫緊の問題。いずれも片手間にできる仕事ではなく、名刺の肩書きの一つくらいに考えてもらっては困る▼「憩の園」を経営する救済会、デカセギを支援するNGO団体、文化教育連帯学会(ISEC)の会長、会計問題の残る百周年協会の総務委員長、さらには文協のデカセギ子弟教育委員会、渡部氏の肝煎りで始めた大豆食普及委員会の委員長―。両委員会の活動実態はなく〇九年度予算はゼロ。担当していた百周年日系人実態調査も「お金が集まらなかった」と先月末中止を決めた。蛙の小便、いけしゃあしゃあである▼次期執行部を選ぶ評議員らの責任は大きい。文協開店休業の状態を二年先延ばしにすることは、二百年目への萌芽を摘むことになる。今月末の選挙で五十人の評議員を選ぶ二千四百会員は、ブラジル日系社会の新世紀の重大な場面にいることを重く受け止めてほしい。コロニアの興廃この文協選にあり、だ。    (剛)

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