ホーム | 日系社会ニュース | 日系色薄れるリベルダーデ=相次ぐ業務縮小や閉店=101年目の大きな変化

日系色薄れるリベルダーデ=相次ぐ業務縮小や閉店=101年目の大きな変化

ニッケイ新聞 2009年9月26日付け

 コロニアのインフラともいえる、日本歌謡曲、日本語書籍、みやげ物店などを販売する日系店舗が、今年に入って次々に規模の縮小や閉店を決めている。華やかだった昨年の100周年の裏側では、一世の高齢化などによる影響や時代状勢の変化などにより、予想以上に購買力や勢いの低下が進んでいるようだ。101周年目の今年は日系社会にとって、昨年以上に大きな節目であることを示唆するような出来事のようだ。

HAIKAI=日本の歌届けて20年=今月末にいったん閉店

 20年間コロニアに日本の歌を届け続けたリベルダーデ区ガルボン・ブエノ街のCDレンタルショップHAIKAIが、今月末でいったん閉店することになった。日本音楽専門のレンタルショップはブラジルでも唯一。
 経営者、岩切厚美さん(鹿児島、59)によれば、最新の日本音楽を得る場所がなかった90年頃、日本の音楽を聞き育ったという二世の妻テレーザさんが発案した。
 「日本音楽が大好きだった。もっと簡単に、日本の音楽を得られる場所があればいいとずっと考えていた」とはテレーザさん。90年末、プラッサ・ダ・アルボレ区にオープン。93年にリベルダーデ区トマス・ゴンザカ街に移転、その後、現在のガルボン・ブエノ街に落ち着いた。
 最初は演歌を中心に取り揃え年配者の利用が多かったが、その後アニメソングやJポップも取り入れるようになり若者の注目も集めるようになった。一時は7千枚以上のCDを貸出していた。
 客たちの待ち合わせや交流の場としても利用され賑わっていた。岩切さんは「経営は順調とは言えなかったが、お客さんの喜ぶ姿が嬉しくてねぇ。儲けなしでも客に喜んで欲しい」との思いで続けてきた。
 二世三世で日本語が分からなくても音楽は好きと借りに来る人が多く、「親や祖父母のプレゼントを買いに来る二世三世の相談にものっていたよ。人との出会いの場でもあった」と懐かしむ岩切さん。「歌は人の心をつなげる。閉めなければならないのはとても残念だ」と複雑な心境だ。
 最近はインターネットでも曲をダウンロードできるためか客が減少。閉店の知らせを聞き、常連客はしょんぼりと帰っていく。「時代は変わってしまった」。思い出の詰まった店先に立つ二人の背中も寂しげだ。
 すでに貸出しは終了、レンタルショップとしての店舗営業は今月いっぱいとなる。その後は、おもちゃなどを扱う文具店に改装予定だという。

丸山宝石店=「東洋街で続けたい」=ガルボン街のビルに移転

 リベルダーデ区トマス・ゴンザカ街に20年も店をかまえていた丸山宝石店が、4月末ガルボン街のビル3階に移転し、現在新規改装中だ。
 経営者の丸山エジソンさん(55)によれば、父・賢二郎さんが、77年頃に開店したのが始まり。宝石好きだった賢二郎さんは、以前はカバン1つに宝石を詰め込み、日系ホテルに出向いては訪問販売していた。
 金、銀、プラチナのほか、豊富な石を取り揃え、顧客の注文に合わせて加工も行ってきた。初めは日系顧客が多かったが、いつの間にか日本からの観光客で賑わうことが多くなった。
 しかし、日本経済が落ち込みをみせた15年程前から客足が遠のき、売上も徐々に下がってきた。昨年11月に賢二郎さんが亡くなり、エジソンさんが引き継ぎ、売上の落ち込みを懸念、規模縮小を検討、場所を移ることになった。
 どうしても東洋人街に店を残したかったというエジソンさん。「ここには馴染みがある。台湾人や中国人が増える中、日系の店が減っていくのは寂しい」と考える。
 現在、改装に力を注ぐ。「お客さんには納得して買っていってもらいたい」。そのこだわりは以前と変わらず熱い。
 照明の取り付けなど内装工事が進められ、2~3カ月後に新規オープンの予定だ。
    ◎
 移転場所=ガルボン・ブエノ街212番、3階

カーザ小野=支店の業務縮小へ=一般販売は在庫のみ

 日本語図書を専門に扱う書店カーザ小野商会の、長年愛され続けたガルボン街の支店が業務を縮小する。店を構えてから約30年。昔ながらの日系書店でも近年客足が減る中、図書の一般販売が在庫のみとなった。
 カーザ小野商会は、ピニェイロス本店とリベルダーデ支店の2店舗を構え、現在は創立者・小野さんの娘・小野ふさ子さんが代表を務める。ピニェイロス本店は1940年代開店、リベルダーデ区には1977年頃支店がオープンした。
 日本の一般図書や雑誌を販売するほか、漫画や時代劇などのビデオの貸出しを行ってきた。ビデオの貸出しでは年配の利用者が多いが、漫画は若者に人気があり、借りていく人には二世三世が多いそうだ。
 一世の減少が影響してか客足が減り、年々売上が下がってきた。現在、定期購買者は約250人程度だという。同支店では今後本の販売は予約注文のみ、一般販売の図書は在庫だけとなる。漫画・ビデオの貸出しは今まで通り継続される。
 支店長の山口勝美さんと貞武古里さんは「お客さんがいる間はずーっと続けます」と力強く断言、今後も積極的に注文を受け付けていく。【カーザ小野商会リベルダーデ区支店】住所=ガルボン・ブエノ街364、電話=11・3208・9365

image_print

こちらの記事もどうぞ