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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年10月17日付け

 今年のノーベル平和賞がオバマ米大統領に決まった。国際政治への協調外交が授賞の理由である。特に核廃絶を提唱し、安保理では「核なき世界」を目指す決議を主導するなどの働きも高く評価されている。原水爆のない平和は夢のまた夢ながらー米大統領が陣頭に立ち取り組み始めたの意義は大きい▼佐藤栄作元首相も「核を持たない・作らない・持ちこまない」の非核3原則を宣言しノーベル平和賞に輝いた。広島、長崎はあの8月の日に原爆を投下され10万人を超える犠牲者や市街地は一瞬にして焼け野原になった。井伏鱒二は「黒い雨」で被爆の哀しみと苦しさを静淑に綴った名作の文学を遺している▼核兵器の怖さと恐ろしさを最もよく知っているのは被爆者であり,日本の国民である。あれから60数年にもなるのに現在でも被爆による病魔に痛めつけられる市民は多い。これらの原水爆は20世紀の科学が世に送った極悪非道のものだし、あまりに巨大な爆発力と核の放つ熱力のために実際には「使えない兵器」となっている。だがー「原水爆保有」は今もなお続いているし、最大の脅威なのである▼オバマ大統領の授賞には、保守派からの批判もいっぱいある。オバマ氏は核廃絶を主張しているだけであり、核のない世界はまだ現実になっていないーとの意見であり、これはこれで一つの論理ではある。恐らくーオバマ大統領が現職のうちに「核廃絶」は実現しまい。しかし、米ロや中国などの核5大国が核兵器の大幅な縮小で合意に達すればーこれだけでも成果は大きく、ノーベル平和賞にもふさわしい。 (遯)

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