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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年10月30日付け

 ウイリアム・ウー連邦下議は先日の百周年評価シンポの挨拶で、「昨年は百周年が全伯で祝われ、主要メディアが盛大に報じてくれたので日系人の価値が大いに上がった。今年は上院で不祥事疑惑が取りざたされ、政治家の倫理観が強く問われた。こんな機会は二度とないと思い、来年の上院議員選挙での立候補を決意した」と語っていたのが印象的だった。まさに「機を見るに敏」だ▼通常の連邦下議なら10万票前後で当選(党による)といわれるが、上議の場合は一説に100万票程度必要との話も聞く。選挙資金も桁違い。日系票だけで上議は無理だと、今まで誰もが判断してきた▼百周年で強調されたのは、日本移民の誠実さ、勤勉さ、忍耐強さなどだ。そんな時に縁故採用や、公共事業の名の下に地元へ過剰な利益誘導したとの疑惑が、よりによって良識の府であるべき上院で起きた。今なら日系議員が上院に立候補すれば、「日系=不正をしない」というイメージから一般国民の票が集まると判断したのだろう。まさに百年に一度のタイミングかもしれない▼日系社会にとっても上議が居た方がいいことは間違いない。日系のような盛大な百年祭をしなかったアラブ系、イタリア系、ユダヤ系などはとっくの昔に上議を立てている▼今まで日系は政治家を良く扱ってこない部分があった。だが百周年では政治家のおかげで連邦、州、市などの資金が記念事業や祭典に注ぎ込まれた。「昔のように寄付金はあてに出来ない」とみなが言う時代に、日系活動を盛り上げるには、彼らとの連携は不可欠といえる。ならば来年最大の課題は、候補者乱立の調整だ。 (深)

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