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茶道裏千家=宗旦忌で遺徳偲ぶ=約30人に許状引次も

ニッケイ新聞 2009年11月25日付け

 茶道裏千家ブラジルセンター(林宗慶代表)は宗旦忌を22日にサンパウロ市の伯栄庵教場で営み、宗旦居士の遺徳を偲んだ。これは千利休の孫で茶道裏千家の第三代家元、千宗旦(そうたん)の命日にちなんだ宗家三大忌の一つ。
 文協4階の突き当たりにある同センター教場に足を踏みいれると、ビルの中とは思えない和風空間がとつじょ広がる。石畳のある室内庭園に忽然と四畳半和室、そのさらに奥には、中心会場となる広間が広がっている。
 渡辺浩司さんが開式の辞を述べ、エリソン・トンプソン・デ・リマ副会長が日ポ両語で挨拶し、着物姿が大半を占め、沈黙が支配する厳かな雰囲気の中、武田宗清さんと鶴賀宗理さんにより供茶が捧げられた。
 林代表から約30人に許状(きょじょう)引次が行われ、5人ほど非日系人が受け取る姿が見られた。これは初級、中級、上級、講師、専任講師、助教授などの稽古の段階ごとに、家元が学ぶことを許可する「許し状」のことを「許状」という。一般的には「茶名」を取得して専任講師になるまでに20年程度かかるといわれる。
 林宗円(まどか)副会長は「茶道は言葉を必要としない。お点前(おてまえ)の所作は感性でも動けるので非日系の方にも入りやすいのでは」と説明した。
 当日はクリチーバ、リオ、レジストロ、グアタパラなどから約100人が集まった。六畳では、日本移民101周年を記念して「新たなる風・民族の統合」をテーマにした点心が振る舞われ、懐石にアラブ料理が混ぜられるなど、進取の気風を感じさせるものとなった。
 同時に、八畳席で七事式、四畳半では濃茶(こいちゃ)席、立礼(りゅうれい)席では薄茶の接待も行われた。

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