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藤間流踊り初めに1200人=歌舞伎、楽団多彩な演出=締めは炭坑節で賑やかに=来年は創立50周年

ニッケイ新聞 2010年1月20日付け

 藤間流日本舞踊学校(藤間芳之丞校長)は10日、文協大講堂で「第49回新春日本舞踊踊り初めの会」を開催した。芳之丞校長をはじめ、名取の芳寿、芳誠、芳翁とそれぞれの社中も出演、総勢40人近くが踊り、華やかな舞台を演出した。会場には第1部から多くの人が詰めかけ、1200人以上が新年の舞を堪能した。
 藤瀬圭子さんと江口桂さんの司会のもと、昨年1度も授業を休まなかった皆勤賞の12人が紹介された。
 舞台は3人の男性の舞で幕開け。高井勲さんと共にパウロ・ベンドラミンさん、マルシオ・ガルボンさんら非日系人の生徒も袴姿で化粧をし、真剣な面持ちで、1年の無事と健康などを願う露払いの意味も込めた新春の舞「斎太郎節」を披露した。
 普通科の生徒による第1部では26人、15演目が披露された。最年少の富岡ファビアさん(11、三世)は小曲「老女白菊」で、赤い着物を着て笠と杖を手に、袖を振りながら幼子が父を訪ねて一人旅をするシーンを演じ観衆を引き付けた。
 第2部は専攻科の生徒により6演目が演じられた。第3部「祝賀の色彩」では名取衆が総出演。歌舞伎の音に合わせて舞い、繊細かつ、力強い舞台を披露した。
 長唄「菊寿の草摺」では舞鶴役の芳寿名取と五郎役の芳誠名取の息も合い、絶妙な空間が生み出された。舞台を踏み込む仕草も芸に締まりを与えていた。
 最後の演目である、歌舞伎舞踊の「連獅子」では芳之丞校長が親獅子、芳翁名取が子獅子を演じた。親と子が向かい合い、さらに親獅子が子獅子を谷に落とす、迫力のあるシーンに観客は一挙手一投足に釘付けとなった。
 フィナーレは初の試みとなるNAK楽団による演奏で、コロニア歌手が「花」や「昴」、「お祭りマンボ」などの歌を披露し舞台に彩りを添えた。最後は出演者が観客席まで降り炭坑節を披露。観客も一緒になって「月がぁ~出た出たぁ~」と曲にあわせて歌い、華やかにフィナーレを迎えた。
 芳之丞校長は壇上から、「最後はバンドがババンと鳴り、目が覚めたことでしょう。今年は来年の創立50年に向けた前夜祭。新たに目が覚めるような企画を立てるので、ご声援よろしくお願い致します」と挨拶した。
 会場の前列に座り、熱心に鑑賞していた西丸俊子さん(81、香川)は「みなさんの精進には感心します。目の付け所、手のやり所など、極めた人は違いますね。これを観ないと年が明けません」と興奮した様子で感想を述べた。

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