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日伯社会保障協定へ前進=ブラジリアで公式会合=両国代表が文書調印=来年には発効か

ニッケイ新聞 2010年2月4日付け

 日伯社会保障協定締結に向けた両国の公式会合が1月25日から29日までブラジリアで開かれた。日本からは外務省中南米局の高杉優弘・南米課長が会合に参加。29日、伯連邦社会保障省社会保障政策局のヘルムート・シュワルゼル局長と協定の技術面に関する規定を定めた文書に署名した。2011年の発効を目指して今後詳細が検討される見込みだ。同協定により、両国で約50万人が恩恵を受けると見られている。
 日伯両国の社会保障協定に向けた話し合いは2004年に開始。05年にブラジル側で両国の制度について意見交換する作業部会が設置され、06年に日本、08年にブラジルでそれぞれ話し合いが続けられてきた。
 昨年6月にブラジル側関係省庁の担当者が訪日して最初の公式会合が持たれ、今回が2回目の公式会合となった。
 協定が発効すれば、日本で暮らすブラジル人が日本で納める保険料をブラジルで支払った保険料と合算することが可能になり、両国の受給期間を満たせば日本またはブラジルで年金(老齢年金、障害者年金、遺族年金)を受給することが可能になる。二重払い、または事実上の掛け捨てだったこれまでの状況が改善される。
 日本からブラジルへ派遣される駐在員は5年の期間(3年の延長が可能)、適用調整期間となり、ブラジルの法令の適用が免除となる。
 社会保障省の発表によれば、シュワルゼル局長は今回の文書署名について、最終合意に向けた大きな一歩だと述べた。
 高杉南米課長は、協定の合意が特に経済面での両国関係進展に寄与すると発言。進出日系企業のより多くの投資につながるとして、可能な限り早い締結に努力すると語った。
 文書の署名を受け、今後は協定の施行規則決定、両国での法的審査へと移る。その後、両国議会での承認、両国首脳による調印を経て発効する。シュワルゼル局長によれば、今年中に両国首脳の調印が行われ、来年から発効する見込みだという。

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