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ニテロイで新たな土砂崩れ=200人が生き埋めに=ゴミ捨て場の上に立つ家=社会格差や管理の甘さ露呈

ニッケイ新聞 2010年4月9日付け

 リオ州で5日夕刻から続いた集中豪雨の爪痕がまだ残る7日夜、グラナバラ湾を挟んだリオの対岸都市ニテロイで新たな土砂崩れが発生し、200人が飲み込まれた可能性があると8日付伯字紙や各種サイトが報じた。7日には雨も小康状態となり、復旧作業もはかどったと安堵したのも束の間の悲劇に、住民らも参加して救出作業が進められているが、リオ州を襲った雨の被害は、都市に潜む社会格差や当局の管理体制の甘さなども浮き彫りにしている。

 ニテロイ市ヴィソ―ゾ・ジャルジンのモーロ・ド・ブンバでの新たな土砂崩れ発生は7日21時頃。5日からの雨のため市内約30カ所で発生した土砂崩れの中でも最大級の土砂崩れは、リオ~ニテロイ間を結ぶ橋から程近く、他の土砂崩れ発生個所のほぼ中央に位置していている。
 今回新たに発生した土砂崩れで現場に赴いた救助隊隊長が、到着と同時に感じたのは妙な異臭。ライトをつけて照らした先には、累々とゴミの海が広がっていたという。
 現場では消防隊150人が救助作業に当たったが、40~60軒の家に小さな教会やピツァリアもあったという小さなコミュニティは、ゴミの山と共に崩れ落ち、一瞬の内に消失した。
 1コミュニティ、200人以上が埋まった可能性がある現場では、住民も含む作業で8日朝までに20人以上救出というが、土砂崩れでの生存率は地震などによる建物倒壊より低く、死者増加は否めそうにない。
 また、現場が元ゴミ捨て場と判明した事で、重金属などによる汚染や感染が懸念され、8日の作業は機械作業に限定。手作業は専用保護具到着を待って再開される。
 今回の豪雨では、警戒段階の設定や警戒情報の発表などの対応が遅れた他、崖下や山肌などの危険地域に広がるスラムでの公共サービスや建築許可、撤去作業などに遅れや不備がある事が改めて判明。
 社会格差の結果起きる、危険地域定住や種々の管理の不備や対策遅れが各地での水害被害を大きくした経験が生かされないまま成長する都市のあり方が、今回も惨劇を引起こしたといえる。
 リオ市では7日、同日現在22人死亡のモーロ・ドス・プラゼーレスなど、危険地域の住民撤去対策などを発表。7日中にリオ州とリオ市が国土統合省に請求した復旧作業費や住宅建設費、賠償費補助3億7千万レアル中、2億レアルの支出は8日に認可された。7日に文化省認可の文化財復旧費200万レアルなど、早急の対策実施が望まれる。
 リオ州での死者は8日15時現在、ニテロイ89人、リオ52人、サンゴンサロ16人、ニロポリス、ペトロポリス、マジェ、パラカンビ各1人の161人。

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