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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年5月6日付け

 日本では既卒者が就職できない「氷河期」が到 来。だが社会に対する恨み節はあっても、いざ海外へ―という声は少ないよう。パスポートの申請数は減少傾向、卒業旅行は国内、JICA青年ボランティアの応募者数も減っているとか。高度成長以前の移住者には、「とりあえず出てみるかという感じだった」という人も多いのだが▼宗教界でも海外布教を希望する若者は少ないと聞いた。某教団の関係者によれば、「寺を継げない次男、三男が多いのだが、ハワイ、米国やヨーロッパの希望者が多く、南米は人気がない」とか。若者は世情を反映するともいうが、時代は変わったというべきか▼今年10月にローランジャ佛心寺の創立50周年が開かれる。現地に赴任し、建立に奔走した故吉田道彦氏が住職を務めた宮城・仙台の洞林寺が主催し、記念訪問団も来伯する。氏は、海外布教のため58年に来伯、パラナ州を中心に巡教に務めた。幼児教育にも関心が高かったことから、幼稚園も運営、地元コロニアの絶大な信頼を得ていたという。その名前は100周年で同市公園に冠されてもいる▼帰国したのは70年。わずか10年余の滞在で―という疑問に同寺護持会の片木馨さん(73)は、「寺を建てたことに加え、周囲に溶け込みやすく、熱心でしたから」と振り返る。今回も来伯する、ふく子夫人が縁を大事にしたことも手伝っている▼モジ禅源寺、ブラジル宮城友好協会、宮城県人会も協賛する。「賑やかになりそうです」と片木さんは声を弾ませる。来伯時28歳だった若き青年の熱い志が生んだこうした仏縁を、日本の若者にも知ってもらいたいものだ。(剛)

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