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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年5月7日付け

 金融危機発生からわずか1年半あまりで、在日伯人約31万人のうち約7万人が帰伯した。短期間にこれだけの定住人口が移動することは日伯史上初。戦後移住者は約20年かけて5万人だし、移住最盛期の1932~35年の4年間を合計しても約6万5千人だ▼確かにたくさん帰ってきているが、実は24万人もがまだ日本に残っている。昨年4月に発表された帰国支援と再就職支援事業はすでに終了しており、日本に残っているのは30万円もらっても帰りたくない人であり、より定住指向の強い層だろう。その24万人の「住民」に対する日本政府の方策の真意がよく分からない▼というのも、先月から在日ブラジル人がビザを更新する際、保険証(国民健康保険や厚生年金などの社会保険)の提示が義務付けられた(09年10月9日既報)。これはデカセギの大半を占める間接雇用(派遣会社)は今後、ビザの更新時に問題が生じることを意味する。さらに現在入管法改正の検討も行われているが、外国人研修・実習制度の拡大の方向性が議論されていると聞く▼この一連の施策が日本政府に通底する真意なら、①デカセギは帰国費用を出すから帰れ、②デカセギはビザ厳格化するから帰れ、③代わりに定住できない外国人(研修・実習生)を増やす、とも理解できる。そうなら多文化共生は言葉遊びに聞こえる▼7月11日参院選説が高まっており、その2カ月前である来週には小沢幹事長や鳩山首相が辞職して民主党の支持率を一気に上げ、その勢いで参院選過半数を狙うとのシナリオがあると聞く。ただし選挙の争点に外国人問題は入らないだろう。(深)

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