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今年も「歩けば楽しい」=だるま塾・交流協会=70人でピッコ登山=89歳の参加者も

ニッケイ新聞 2010年6月16日付け

 だるま塾とブラジル日本交流協会が共催する遠足「歩けば楽しい」が5月23日に実施され、70人がサンパウロ市最高峰のピッコ・デ・ジャラグア登山を楽しんだ。
 森脇礼之・だるま塾長(75)の発案で始まった同遠足。「子供たちに車の窓から見る景色と、実際歩いて見る景色との違いを知ってもらいたい。歩けば感じるものが多い」という思いが、29回目の遠足を迎えさせた。
 雨が心配される曇り空の下、午前7時にラッパ駅近くのだるま塾前に参加者約30人が集合し、まずは約10キロ先のピッコ・デ・ジャグア山麓へ。初参加の田宮正三さん(63、3世)は「歩くのがすき。どんな遠足になるか楽しみだ」と話す。
 途中で「リベルダーデ歩こう友の会」メンバーと合流し、10時過ぎに山麓に到着。最終的な参加人数は約70人に増えた。親に手を引かれた子どもから、最高齢89歳の参加者まで、老若男女が山頂を目指して歩き始めた。
 先日からの雨で、少しぬかるんだ地面をスイスイと進んでいく参加者。経験とともに、足を滑らさずに登れるのだと語る人も。
 200回のスクワットが日課の森脇塾長は「ピッコの山が自分の体調を教えてくれる」と、山との長年の付き合いを語る。
 佐藤磨さん(しゅう、51、栃木)は妻ユミエさんと共に初の参加。ブラジル8番目の高さを誇るアグリャス・ネグリャス山にも登頂した磨さんと「最近は子どもの送り迎えだけ」というユミエさんだが、日本にいた頃は、夫婦共に富士登山の経験がある山好きだ。
 「日本にいたころから、よく歩いたもんだ」という島善雄さん(75、和歌山)は、「重荷を持って登ってこそ登山」。車に荷物を預けることなく元気に登っていた。
 全員が山頂に到着したのは、正午を過ぎた頃。最後の参加者が到着したときには、だるま塾の旗が振られ、大きな拍手が送られた。
 各自持参のお弁当を食べ、恒例の「20キロ完歩記念ワッペン」が贈呈され、記念撮影が行われた。
 大畑昌さん(87、静岡)は太平洋戦争中海軍に入隊し、陸上攻撃機「銀河」の操縦桿を握り、台湾の基地に駐屯していた経験がある。今回が初の登山。途中ぬかるんだ地面に足を取られて転んだが、山頂まで元気に登りきった。
 佐藤ユミエさんも山頂で「少し疲れましたけど、富士山よりは楽でした。また参加したいです」と笑顔で話していた。
 昼食、自由時間を使い、さらに上の電波塔の麓まで階段を登る人、居眠りする人など、思い思いの時間を楽しんだ後、下山の途に着いた。

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