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■ひとマチ点描■父の遺産は心意気

ニッケイ新聞 2010年6月22日付け

 5月30日にパラナ州都クリチーバで開催された全伯王将戦に、遠くパラー州カスタニャルから参加した高島ロベルト五段(55歳、2世)。大会前日の指導将棋でただ独り、プロの大島七段に勝ったほどの腕前。王将戦に出場し熱戦の末、準優勝に輝いた。
 高島さんは胡椒、カカオの仲買、輸出などを生業とし、サンパウロ州からの参加者が使ったバスの賃貸料をブラジル将棋連盟に快く寄付するなどの心意気をみせた。
 そんな高島さんにも苦難の時代があった。98年に多額の負債を抱えて会社が倒産。当時を「ゼロではなくマイナスからのスタートだった」と振り返る。親戚を頼り、半年間日本でデカゼギ。その資金を元に事業を再開した。将棋は元アマゾン高拓生の父に教わった。きっと七転び八起きの根性も、学んだに違いない。(秀)

写真=山本五段、高島ロベルトさん、優勝者の浜公志郎さん、大島七段

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