ホーム | コラム | 大耳小耳 | 大耳小耳

大耳小耳

ニッケイ新聞 2010年6月23日付け

 水野龍の遺品を史料館に寄贈した野村さん夫妻。娘の妙香さんによれば、水野が日本にいた戦中戦後の時代に他の場所へ預けたりして行方の分からない品物もあるという。このほか、金鎖付きの懐中時計もあったが、94年に泥棒に持っていかれたそうだ。史料館を訪れた野村夫妻が気にしていたのは、水野が50年に帰伯、コンゴーニャス空港に降り立った時についていた桜の木の杖。帰国後、水野が亡くなるまで使っていたという。史料館に寄贈されていた杖がそれかと思われていたが、夫妻や龍三郎さんが確認したところ、別なものだった。「バストスの史料館にあるのでは」と関係者。
     ◎
 この二人を抜きにして移民史を語れない水野龍と上塚周平。現在はともに「移民の父」と呼ばれているが、半田知雄の著書では「移民者の父」と書かれているという指摘もあり、以前は少し違っていたようだ。史料館では、日本人のブラジル移住を始めた人物ということで、水野を「移民の祖」、上塚を「移民の父」と区別しているという。
     ◎
 落書きならぬ「楽書倶楽部」という冊子が、日毎叢書企画出版により発行されている。同出版代表の故野口浩さん追悼文集から始まり、その後も継続され、第3号となる今回は特別号(64頁)で、元ブラジル三井物産社長の中村勉さんの随筆をまとめている。非売品であまり出回っていないが貴重な冊子。発行する前園博子さんは「みなさん、寄稿してみませんか。随想、旅行記、思い出、経験談、自分史、写真、絵画など、みなさんが作る小冊子です」と呼びかけている。申込みは電話(11・3209・5228)かEメール(nitimai@nethall.com.br)。

image_print