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■ひとマチ点描■63年ぶりの祖国を短歌で=酒井祥造さん『訪日の旅』を上梓

ニッケイ新聞 2010年9月23日付け

 今月12日に短歌誌「椰子樹」と本紙の共催であった『全伯短歌大会』の会場。自著『訪日の旅~湧く喜びを歌に詠みつつ』を笑顔で参加者に配るバウルー在住の酒井祥造さん(83、北海道)の姿があった。
 初の帰国時に書き付けた日記と各地で詠んだ歌を旅行記にまとめた。随筆や詩も盛り込み、大会に向け刊行にこぎつけた。「歌仲間に読んでもらいたかった」。
 1927年、6歳の時、家族8人でノロエステに入植。アリアンサ移住地、バウルーと土と格闘する毎日。30年前から短歌を始めた。
 日本語のできない孫娘パトリシアさんに請われたことがきっかけで、00年に63年ぶりの帰国を果たす。
 娘が住む東京ではカラスのやかましさに腹を立て、上高地の自然に圧倒される。皇居や明治神宮で物思いにふけつつ、ディズニーランドにくたびれる。
 故郷北海道では、幼年時代を共に過ごした叔母らとの再会を喜びながら、おぼろげな思い出を紐解いていく。
 懐かしい日本の情景やつれづれなる思いをブラジルと比較しながら、歌に詠んだ。すでに50冊を仲間に配った。
 旅行が好きでスカイダイビングも楽しむお達者ぶり。「来年は、パタゴニア旅行の本を作れれば」と新たな意欲を見せている。
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 自分史、句集、随筆など本の出版に関するお問い合わせは、日伯グラフィックス(11・3208・4863)まで。

写真=本を手に笑顔の酒井さん

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