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日伯両政府から対応策続々=デカセギ25周年国際シンポ=日本社会に統合の方向へ=非行防止と教育が課題

ニッケイ新聞 2010年11月9日付け

 デカセギ25周年を記念して国外就労者情報援護センター(CIATE、二宮正人理事長)が主催した国際シンポジウムが聖市内ホテルで5~6日に、伯外務省、伯社会保障省、中小零細企業支援事業団(SEBRAE、以下セブラエ)、在日伯人子弟の教育、日本の厚生労働省や文部科学省など各界を代表する約10人が最新状勢を講演した。グローバル化の大波を受けて80年代以降、ブラジルは移民受け入れ国から送り出し国に変貌した。日伯で本格的なデカセギ対応策は長らくなかったが、08年の金融危機以降、両側から支援策が続々と打ち出されるようになった経緯と具体例が説明された。

 5日晩行われた開会式では、開設18周年を迎える同センターの協力者に感謝を捧げる二宮理事長の挨拶に続き、大部一秋在聖総領事は、デカセギ現象の影響もあり民間団体、地方自治体、政府、企業が関わる重層的な日伯関係が広がりつつあるとの認識をしめし、「このシンポは日伯友好をより意義あるものにする」と高く評価した。
 海外日系人協会の田中克之理事長(元在聖総領事、スペイン大使)は、内閣府の日系定住外国人施策推進会議が8月に基本方針を策定し、今年度末を目途に行動計画を決める動きを、「各省関係機関が集まる総合的な動きは今までなかった。日本社会の一部としての受け入れに関してつっこんで考えましょうというもの」と紹介した。
 厚労省の野口尚課長による話の後、伯国外務省ブラジル人在外コミュニティ担当副次官室長のロドリゴ・デ・アマラル・ソウザ公使は、「在日伯人には定住を希望するものが多く、日本社会に統合される方向にある」との見方をしめし、「定住には日本語は必須でその学習が大きな課題。非行防止や子弟教育のために日本の公立校に編入させる努力を強めなくては」と語った。また、世界から16人の在外ブラジル人コミュニティ代表を選ぶ選挙が実施されている件も報告された。
 社会保障省のエドワルド・バッソ補佐官は、今年署名された日伯社会保障協定は方向性しか規定しておらず、今月からの会合で年金通算の詳細を詰めていくと説明した。
 移民審議会のパウロ・セルジオ・アルメイダ会長は、金融危機以降の日本政府の日系人支援策を感謝し、世界で初めて国外に「労働者の家」(労働相談所)を常設した静岡県浜松市について触れ、開設以来3カ月で500件の相談を受け「順調に機能している」と報告した。勤続年限保障基金(FGTS)の国外引き出しを可能にする手立てをし、伯人の国外就労あっせんに関する規定を定める予定だという。帰伯者に対応するために文化教育連帯協会(ISEC)と共同で文協ビル内に帰伯者向け相談所の開設準備をしていることも明らかにした。
 翌6日朝、セブラエのデカセギ問題コーディネーターのシルマル・ペレイラ・ロドリゲス氏は、米州開発銀行(IDB)の支援を受けて06年から始まった帰伯者向け起業セミナー「デカセギ起業家プロジェクト」を、同支援がなくなった後も継続する方針だと表明。この経験を元に在北米伯人版プロジェクトを始めているという。
 最後に650万部の自己啓発本を売り上げる著名講演家の新屋敷ロベルト氏も「勝者の哲学」を語り、デカセギにエールを送って締めくくった。

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