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「見たもの、感じたもの全て教材」=兵庫県=32回続く若手農業リーダー研修=新しい発想と技術を学ぶ

ニッケイ新聞 2010年11月19日付け

 兵庫県の若手地域農業リーダー育成研修事業の2010年(平成22年)度海外派遣団(永岡治団長)23人が13日着聖し、16日間に及ぶ農業実習、工場視察等を行っている。21日のブラジル兵庫県人会50周年記念行事にも参加する予定。ブラジル到着の日、午後7時からリベルダーデ区のレストランで尾西貞夫会長ら同県人会関係者との懇談会が開かれた。
 同事業は昭和53年に開始し、2008年までに計31回、447人がブラジルで研修を行っている。その半数が専業農家又は、農業団体、関連企業に従事している。
 昨年は新型インフルエンザのため派遣を中止したが、今年はパラナ州と兵庫県との友好提携40周年、県人創立50周年の節目の年に当たり、派遣者数を例年の倍にし、農業を学ぶ高校生14人、大学生4人、若手後継者2人、引率らが来伯した。
 懇談会では、県人会関係者らのあいさつの後、派遣団員らが自己紹介し、研修目的を発表した。
 「土の違い、広大な土地での流通を知りたい」「エタノール事業に興味がある」「学んだ知識を元に将来は教師になりたい」と研修生らの目的は様々。
 若手農業後継者の山口龍太郎さん(21、姫路市)の実家は3代続く農家で、父親も元研修生。「一度外国を見てこい」という父の進めもあり、応募した。ブラジルの大規模農業機器の導入や使用、作業形態等を学び、仕事に活かしたいという。
 県立農林技術総合センター企画調整・経営支援部長の永岡団長は、「兵庫の農業が歩む道は2つ」と強調する。
 海外研修などを通じて新しい発想、専門的な技術を身につけた若手の育成を行い、ブランドの開拓を進めること。専業農家だけでなく地域の団結の下に生産環境を保全して行くこと、がそれだという。
 農業者が作成する経営改善計画の達成に向けて市町村が様々な支援措置を行う、「認定農業者」の数は2300人を超え、全国で5指に入る数だという。
 県立佐用高校教諭で引率者の細身幸司さん(38)も元研修生。高校2年生のとき「視野を広げたい」とブラジルの地を踏んだ。
 その経験が忘れられず、引率者の応募にはすぐさま名乗りを上げた。「研修でのことは何度となく生徒らに話してきた。見たもの、感じたものは全て教材になる」とし、教師の立場でも自身学ぶ思いだ。「この経験のよさは身を持って知っている。色んなものを見て欲しい」と、研修生らにエールを送った。

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