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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年3月1日付け

 チュニジアの「ジャスミン革命」に始まる騒乱はエジプトに飛び、バーレーンにも達しリビアも危機に瀕している。この中東に起こった市民の怒りは、中国の若者にも影響しインターネット情報で「民主化推進」「集会を開こう」と呼びかけ、政府や警察は取り締まりに懸命だけれども、あの国には共産党支配に抗する勢力も想像を超えるほどに強い▲北朝鮮でも、中東のデモに同調する文章を記したビラが見つかり大騒ぎになっているの情報もあるし、この秕政追放の動きは、アフリカはスーダンなどの独裁国家にも影響を与えるのではないか。町の床やの親父や八百屋の小父さんらが、専制国家に反対すると大きい幟を掲げ抗議する庶民たちの憤怒は、独裁と寡頭政治の国ばかりだし、中国にしても北朝鮮も残念ながら政治的な自由とは遠い▲カダフィ大佐は、41年もの間—たった独りで国を支配し、国連での演説では、安保理を「テロ理事会」と罵倒し、演壇から国連憲章を投げ飛ばす傍若無人ぶりであった。あのパンナム機を爆破し270名の乗客らを皆殺しにしたのも、反米の国—リビアである。それでも、カダフィ氏は「爆破にリビア国家の関与はない」としながらも、遺族補償として15億ドルを支払っている▲汎アラブ主義と反欧米の旗手も、猛り狂った怒涛と疾風に立ち向かうのは難しい。ご本人は、首都トリポリ決戦と強気だが、主要都市には市民の勝利の声が満ちている。安保理とアメリカも制裁に踏み切っているし、国際的な意見は厳しい。勝ち鬨がどちらに上がるのか—は言うまでもない。(遯)

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